
「統計学って苦手だな。どうやって勉強すればいいのかな?統計を学んだところで臨床スキルは上がらないから意味ないかな?」
こういったテーマで記事を書いてみようと思います。
- 統計学は学びを深めるために必須の知識
- 療法士が統計学を学ぶべき理由
- 初学者が統計学を学習する方法
この記事を読んでいるあなたも、統計学に苦手意識をもっていませんか?
そういう僕も、統計学は大の苦手。大学では赤点ギリギリで単位を取得していました。
大学を卒業して臨床に出た後、しばらくは統計学の存在を忘れていたのですが、研究→発表をするために学びなおす必要があり…。かなり苦労しました。
でも、統計学を学びなおしたおかげで、今では論文を10編以上書くことができましたし、同僚の研究を支援したりすることも増えています。
この記事では、「統計なんかムリムリ…」と思っていた昔の僕に向けて、統計の学習方法を解説してみます。
療法士で学びを深めるなら統計学の知識は必須



統計学は療法士の「インプット」「アウトプット」の双方に重要な知識です。
療法士が統計学を学ぶべき理由
以下の2つは、僕が統計学を学んで「良かった」と感じたことです。
- 論文から正しく学べるようになる
- 論文を書くハードルが下がる
順番に解説しますね。
統計学の知識が皆無だったころ、僕の論文の解釈は「超テキトー」でした。
「有意差ありだから効果は絶大じゃね?」
こんな感じ。でも実際には、有意差だけで効果の程度を語るのはナンセンス。
「p値の意味」はもちろんですが、「信頼区間」「効果量」などの概念を理解できると、論文の解釈の幅が広がります。
「論文で有意差は出てるけど、信頼区間の下限や効果量をみると、臨床での効果は低いかもな」
こんな感じに論文で示された結果を自分なりにも解釈できるようになることが大切。
「なんかよく分からないけど、有意差ありだから…」という読み方じゃ得られる知識は半減します。
一口に「有意差あり」と言っても、検定の方法によって意味合いは変わってくるわけですから、基本的な部分だけでも理解しておくべきだと思います。


論文を書こうと思ったときに、最初にぶち当たるのが「統計の壁」ではないでしょうか。
実は、僕も「論文を執筆してみたいけど、統計が分からなすぎてムリ」って最初は思っていました。
でも、コツコツと統計学を勉強しつつ、論文を読むようにしていたら少しずつ自信がついてきたわけですね。そして、ある時に気づきました。
「わりと基本的な検定の知識があれば、論文を書けそうだぞ」
現在、日本語の論文で使用されている検定は、基本的なものが大多数です。たとえば以下のようなもの。
- t検定
- カイ二乗検定
- 相関係数
- 分散分析
- 重回帰分析
もちろん、他にもありますが、とりあえず上記をおさえておけば、応用した検定なども学びやすくなると思います。
そして、ここまで分かってくると「あっ、自分にも論文書けるかも?」って気持ちが湧いてくるはず!


非効率な学習をする人の特徴
ここまで読んで「よし、勉強しよう!」と思ってくれた人も、気を付けないと挫折してしまうところが統計学のこわいところ。
学習をできるだけ効率的に進めるためにも、非効率パターンを先に紹介しますね。
勉強開始直後の僕です。書籍を購入して読み始めたものの、意味が分からなすぎて寝落ち…。
気合を入れ直して再度勉強するも、やはり寝落ち…。最悪ですよね。
寝落ちするなら、まずはしっかり寝ましょう
ウトウトしながら読んだって意味ないですよね。だったら寝た方がマシ。
寝不足じゃないのにこういった状態なら、勉強方法が自分に合っていないのかもですね。楽しみながら学べれば、自然と眠気もどこかにいきます。
これも昔の僕ですが、「統計を勉強している自分」に酔っていて内心そこまで本気で頑張っていない場合。
正直、統計学の知識が臨床に直結するわけでもないので、そこまで熱が入らなかったんですよね。
こういった場合には、目標をちゃんと設定すると良いかもです。僕の場合、自分を少し追い込むことで本気度を上げました。
「1年後に、統計検定2級に合格する!」
など。ちょいスパルタですが、周りに宣言すると、後に引けなくなるのでオススメです。要するに「退路を断つ」わけですね。
これは統計の初学者にあるあるかもですが、色々な本やソフトに手を出してしまい「あれもこれも」みたいになってしまうことがあります。
これも過去の僕ですが、「R」「js-STAR」「SPSS」「JASP」「M-plus」など、色々なソフトに手を出していじっていました。なんか、操作しているだけで分かった気になるんですよね。
もしかしたら、こういった学習方法が向いている人もいるかもですが、あまりオススメはしませんね。
「自分に合った方法をみつけたら、まずはそれを突き詰める」
これが良いと思います。僕の場合は、「R」が使いやすくておもしろかったので愛用しています。
アウトプット前提で学ぼう
せっかく統計を勉強するなら、学会発表や論文などのアウトプット前提で学習すると良いと思います。
統計学の教科書を1ページ目から順番に読もうとすると、結構シンドイです。数式から理解しようとするのはかなり非効率かと。
じゃあ、どうするかというと「つまみ食い」から始めます。
自分がやる研究に必要な部分だけピックアップして学びましょう。
もちろん、基礎は大切ですし、検定を学ぶには数式の理解も重要です。ただ、そこから始めなくても良いと思うのです。
目標から逆算して学ぶべき
自分に必要な知識は何か?というところから、逆算して学ぶと効率が良いと思います。
例えば、僕はt検定を学ぶときに、以下のような順番で勉強しました。
- ①:t検定の概要→2群の平均値を比較
- ②:t検定の実行のためのRコード
- ③:t値、p値の意味→結果の解釈
- ④:t値、p値の求め方(数式)
数式など、難しいことは後回しです。
まず、やってみる。やってみつつ、学び直す。
これが学びやすいと思います。
統計学を学ぶ意義を、整理してみましょう。
「論文を読みたい」のであれば、読みたい論文に出てくる検定から学び始めても良いかもしれません。
教科書の1ページ目から学ぶのも良いですが、目標から逆算して学ぶのもオススメですよ。


【療法士向け】オススメな統計学の学習方法



最後に、僕の勉強方法を紹介します。独学とセミナー、たぶん両方やったほうがいいです。
【独学】教科書+フリーソフト「R」
教科書をみながら、とにかく手を動かして学びましょう。
オススメは「はじめてのR」で学びを開始すること。Rのインストール手順から、基礎的な検定まで、かなり分かりやすく解説されています。
とにかく、読んでいるだけでなく、手を動かすことが大事。やっているうちに、なんとなくつかめてきますよ。
たぶん、上記のようにRを操作しているうちに、なんとなく統計が分かった気になってくると思います。でも、ここで終えてしまうのは危険。
どこかのタイミングで基礎は学ぶべき
まず、「統計学の時間」というサイトを一通り読んでおくと良いと思います。
加えて、1冊でいいので、統計学が基礎から解説されている本を読んでおきましょう。
ちょっと難しめの本ではありますが「基礎統計学Ⅰ 統計学入門」を理解することを最初のゴールにしても良いかもです。
【オンライン】統計に関するセミナー
統計学に関するセミナーを利用するのも良いと思います。最近では、初学者でも理解しやすい教材が増えてきました。
リハノメでは、リハビリ業界でよく使用される検定について分かりやすく解説されたコンテンツがあります。
ちなみに、リハノメは初月980円でセミナー見放題。1ヶ月間でまとめて学んでしまえば、かなりお得ですよね。



Udemyでは統計に関する講座がたくさん公開されています。実際に僕が利用したのは以下。
- いちばん理解できる統計学ベーシック講座その1
- いちばん理解できる統計学ベーシック講座その2
- 統計検定2級対策講座
初学者なら「いちばん理解できる統計学ベーシック講座その1」から始めると分かりやすいと思います。
Udemyでは不定期にセールを行っているので、気になる講座はときどきcheckしておくと、お得に受講できるかもです。



最終的には自分の研究で使おう
というわけで、今回はここまで。
統計学の基礎的な部分だけでも学んでおくと、論文を読んだときの理解度が上がりますし、自分で研究をはじめようとするハードルが下がります。
せっかく学ぶのですから、最終的にアウトプットを目指せるとモチベーションも保ちやすいかと。
統計のセミナーはわりと高額なものが多いので、まずは以下の2つから始めてみましょう。
基礎的な知識がついてきたら、Udemyもオススメです。