
「子どもの声がいつも大きくて困っちゃう。なんで静かにしてほしい時でも大声になっちゃうのかな?どうしたらいいの?」
こういったテーマで記事を書いてみます。
- 子どもの声が大きくなる原因
- 原因は複数あるかもしれない
- 声の大きさの調整を育てる遊びの紹介
先日、以下のようなツイートをしました。
声がいつも大きい、という相談。まずは聴力をチェック。次に声の大きさの出し分けができるか?(伝言ゲームとか、アリさんの声とか)。そして、状況の理解ができるか?(この場面ではどのくらいの声の大きさが良いか?を理解)。実は「大小の声の出し分け」に苦労している子も多い気がする。
— ゆう@子ども専門の言語聴覚士 (@hagukumichild) April 5, 2022
声がいつも大きい、という相談。まずは聴力をチェック。次に声の大きさの出し分けができるか?(伝言ゲームとか、アリさんの声とか)。そして、状況の理解ができるか?(この場面ではどのくらいの声の大きさが良いか?を理解)。実は「大小の声の出し分け」に苦労している子も多い気がする。
「子どもの声が大きすぎる」「静かにしてほしいところなのに、大声で話す」こういった相談をお受けすることも多いです。
できることなら、場面に合わせた声の大きさで話せるようになってほしいですよね。
実は、声の大きさの調整ができるようになるためには、いくつかのステップがあります。
この記事では、『声の大きさの調整』をテーマに解説していきます。
目次
なんで?子どもの声が大きくなってしまう原因



なぜ、声が大きくなってしまうのか?という理由が分かれば、対応方法がみえてきます。
よくある原因は以下のとおり。
- 耳が聴こえにくい
- 状況の理解が苦手
- 気持ちが抑えられない
- 声の大きさの出し分けが苦手
順番に解説します。
原因①:耳が聴こえにくい
聴力が低下していると、自然と声は大きくなります。
これは、自分の声が自分で聴こえにくいため、大きな声で話そうとすることが理由です。
声の大きさが気になるときには、耳鼻科で一度みてもらうと良いと思います。
聴力に問題がなければ、他の原因を探すことになるので、まずは鑑別のためにも聴力検査はしておきましょう。
》耳のきこえは大丈夫?聴力が言葉の発達に大切な理由
原因②:状況の理解が苦手
周囲の状況がしっかり認識できていないがゆえに、声が大きくなってしまうパターンです。
例えば、通常なら映画館など周囲が静かにしている状況を認識して自分も静かにしようと声をひそめますよね。
しかし、状況理解が苦手な子では、周りの様子とは関係なくマイペースに話してしまうことがあります。
まず、周囲の様子に気づいてもらう必要があります。例えば、「みんな、おしゃべりしていないね」など、周りの様子に注意を向けられるような声かけをしてあげましょう。
そのうえで、「小さな声でお話しようね」など、どのようにすべきかを具体的に伝えてあげて欲しいと思います。
きちんとできているときに、褒めよう
ついつい、大きな声で話したときに「静かに!」と注意をしがちになってしまうと思います。
でも、実は『うまくできたとき』に褒めた方が行動は定着しやすいです。
「静かにできていてすごいね」「小さな声でお話、上手だね」など。
それでいいんだよ、ということを伝えつつ、成長を待ちましょう。
原因③:気持ちが抑えられない
気持ちが高ぶって、ワーッと大きな声で話してしまうパターンですね。上記の状況理解に加えて、感情のコントロールの苦手さが影響している子もいるかもしれません。
感情をコントロールするには、まずは自分の気持ちに気づく必要があります。当たり前のようですが、子どもの頃って意外と気づけていなかったりするんですよね。
毎日の生活の中で、子どもが感じていそうな気持ちをことばにしながら関わってみましょう。
例えば、「楽しいね」「ちょっと疲れたね」「かなしくなっちゃったね」など。
自分の気持ち気づくことが最初の一歩
この場合、声の大きさの調整については一朝一夕で可能となるものではありません。でも、自分の感情の理解については、成長のためにとても大切なことです。
子どもの発達に合わせて、少しずつ育てていきましょう。
原因④:声の大きさの出し分けが苦手
意外かもしれませんが、自分の意思で「大きい声」と「小さい声」を出しわけることが苦手な子もいます。
要するに、『どうやって小さい声を出したらいいのか分からない』といった感じですね。
「大きい声で話してみる」「小さい声で話してみる」といったように、声の大きさを自分で調整する経験は大切です。
声の大きさが子どもに分かりやすいように「ゾウさんの声」「アリさんの声」などとネーミングしても良いですね。
遊びの中で、さりげなく練習してみましょう。
原因は1つとは限らない
「大きい声で話してしまう」という行動の背景には、いくつもの原因があると思います。
例えば、ある時は「状況理解の苦手さ」の影響が強いときもあれば、ある時は「感情のコントロール」の影響が強いときがあるかも。
原因は1つと決めつけずに、子どもが何に困っているのかを丁寧に観察したいですね。
子どもの声の大きさを調整する力を育てる遊びの紹介



遊びの中で、楽しみながら「声の大きさ」を意識する経験をもちましょう。
例えば、以下のような遊び。
- 伝言ゲーム
- こんなとき、どんな声?
- 声の大きさ練習アプリ
順番に紹介しますね。
遊び①:伝言ゲーム
1列に並んで、小声で次の人にお題を伝えていくおなじみのゲームです。
声の大きさを調整して「小さな声」で話す練習として、楽しみながら取り組めます。
まずは、父、母、子の3人で取り組むなど、少人数からはじめるとやりやすいと思います。
遊び②:こんなとき、どんな声?
ある状況を提示して、その状況での声の大きさはどのくらいが適切かを考えるゲームです。
例えば、「遠くにいる人を呼ぶとき」「電車に乗っているとき」「家で家族と話すとき」などの状況での適切な声の大きさを考えます。
ことばだけで状況をイメージできない子の場合には、イラストや写真を見せながら伝えてあげましょう。
子どもと出かけた先で写真を撮っておいて、家で見返しながら声の大きさを考えるのも良いですね。
遊び③:声の大きさ練習アプリ
LITALICOが開発した「こえキャッチ」というアプリもオススメです。
マイクに向かって声を出すと、かごを持った動物たちが気から落ちてくる果物をキャッチします。
ルールは簡単なので、小さな子でも楽しめると思います。
》こえキャッチ
落ち着いている時に練習しよう
何ごとでもそうですが、感情が高ぶっているときに新しいスキルを学ぼうとするのは大変だったりします。
声の大きさに関しても、実際の場面で練習することも大切ですが、普段のニュートラルな状態のときに、他の遊びで練習しておくことも大切です。
落ち着いているときに、うまくできた経験を積み重ねつつ、実際のスキルとして定着していけたらと思います。
というわけで、今回はここまで。
ここまでをまとめます。
- 声が大きすぎる原因はいくつかある
- 原因に応じて対応することが大切
- 遊びの中で調整スキルを育てよう
こんな感じです。
基本は、うまくできたときに褒めて強化!
子どもをよく観察してみると、案外上手にできている場面もあるものです。
声の大きさに限らず、子どもに何かを教えようと思った時には「いつだったら上手にできているのかな?」といった視点で子どもをみてみることも大切です。
上手くできた瞬間をしっかりと見つけて、「それでいいんだよ」「見てたよ」といったメッセージとともに褒めてあげましょう。