小児の言語聴覚士はやりがい・魅力のある仕事:現役STが解説します!

「小児分野で言語聴覚士として働くやりがいってなんだろう?実際に働いている人からの意見が聞きたいな。」

このような疑問におこたえします。

この記事の内容

  • 小児分野の言語聴覚士のやりがいや魅力を紹介
  • 小児分野の言語聴覚士が感じやすい悩みを紹介
  • 小児臨床の実際のエピソードを紹介

この記事を書いた人

Twitter(@hagukumichild

この記事を書いている僕は、小児分野の言語聴覚士として15年以上働いています。この記事では、その中で感じている『やりがい』や『悩み』などを紹介します!

小児分野の言語聴覚士として働く「やりがい」「魅力」はたくさんあります。

「伝える喜び」「食べる楽しさ」を子どもたちに経験してもらえることに加えて、子どもたちの未来を支え、成長を保護者と一緒に喜ぶことのできる仕事です。

この記事では、小児分野で働く『やりがい』に加えて、よく経験する『悩み』も紹介しようと思います。

それでは、さっそくいってみましょう。

小児分野で言語聴覚士として働くやりがい・魅力

小児分野で働く言語聴覚士には、以下のような「やりがい」や「魅力」があります。

小児STのやりがい

①:「伝えるよろこび」を支える仕事

②:「おいしい」を支える仕事

③:「子どもの未来」を支える仕事

④:「成長を喜び合える」仕事

以下にもう少し詳しく紹介していきますね。

やりがい①:「伝えるよろこび」を支える仕事

小児分野の言語聴覚士は、言語・コミュニケーションの発達に苦手さをもつお子さんたちを対象にします。

対象となるお子さんのことばの発達の状態は様々で、生涯のあいだ話すことは難しいほどの重度の障害のお子さんから、日常生活上の話し言葉はいっけん問題ないようにみえるもののコミュニケーションの苦手さを抱えているお子さんまでいます。

障害の程度は違っても、お子さんたちがより生活しやすくなるためのコミュニケーションを支えるのが言語聴覚士の仕事です。

コミュニケーションを支援する中で、お子さんたちが「伝えるよろこび」に気づいてくれた瞬間などは、なんとも言えない感動・充足感を感じられるところが、言語聴覚士の仕事のやりがい・魅力だと思います。

やりがい②:「おいしい」を支える仕事

小児分野の言語聴覚士も、摂食嚥下機能に問題をもつお子さんの食事の問題を対象にします。

こちらも対象となるお子さんの摂食嚥下障害の状態は様々で、誤嚥が頻繁に確認されるためお楽しみ程度の経口摂取を続けているお子さんから、嚥下機能は問題ないものの口腔機能のそだちがゆっくりで時間をかけて離乳食を進めるお子さんまで対象となります。

しかし、どの対象となるお子さんでも、お子さんの「食べる」のお手伝いをしていくことには変わりありません。

摂食嚥下の支援を、お子さんたちが「おいしい」と笑顔をみせてくれることを期待して地道な取り組みを続ける言語聴覚士という仕事は、とてもやりがいを感じる魅力的な仕事だと思います。

やりがい③:「子どもの未来」を支える仕事

小児分野の言語聴覚士は、今・現在のお子さんの姿を対象にすることはもちろんですが、その先にあるお子さんたちの未来も考えながら支援を考えます。

例えば、小学生になったら・・・、高校にあがるころになったら・・・、成人する頃になったら・・・、など将来のお子さんの姿を想像しながら関わり、必要そうなスキルや支援を検討します。

未来のことなので、何が正解か分かりませんが、一つの職場に長く務めると、子どもたちがだんだん大人に近づいていく姿を一緒に見守ることができます。

あかちゃんの頃からのお付き合いのある子が成人するなんてことになれば、親のように感動して涙を流してしまうようなことも少なくありません。

また、長い付き合いから得た経験などは、これから出会うお子さんたちへもアドバイスとして還元していくことができます。

やりがい④:「成長を喜び合える」仕事

小児分野の言語聴覚士は、対象となるお子さんだけではなく、毎回保護者の方との関わりも持たせていただくことが多いです。

お子さんの指導時には、普段の様子を保護者の方からうかがいながら成長を確認していきます。

お子さんにとって一番身近な存在である保護者の方と成長を喜びあえることはとてもうれしい瞬間です。

小児分野で言語聴覚士として働く悩み

上記のようにたくさんのやりがい・魅力のある小児分野の言語聴覚士ですが、働く上での悩みも当然でてくると思います。

例えば、「子どもとうまく関われない」「保護者の方とうまく面接ができない」など臨床のスキルに関することは悩みの代表です。

しかし、これらはある程度の経験が必要な部分も大きいです。最初からこれらが完璧にできる人などいませんし、ベテランであっても悩みは尽きません。

そういった時に、相談できる上司・先輩がいると心強いです。小児分野で働く人たちは「発達」「成長」を専門としているわけですので、同僚の成長に関しても優しく指導してくれる場合も多いです。

しかし、小児分野の職場は、上司・先輩のいない一人職場であることも少なくありません。

そのような場合には、相談先を自分で確保しておく必要があります。

養成校の先生とのつながりを維持しておいたり、学会や勉強会で知り合った方と連絡を取り合ったりできると良いですが、なかなかうまくいかないことも多いかと思います。

そういった場合につかいやすい小児STが集うサイトのメーリングリストなどもありますので、ご自身が相談しやすい方法を選んでおけると良いと思います。

小児分野の言語聴覚療法のエピソード

「やっと言葉が出た!」ダウン症をもつお子さん

1歳から療育センターにやってきたダウン症と診断されたお子さんでした。

出会った頃にはまだ「あー」「うー」などの母音を中心とした喃語が中心の状態でしたが、同年代の定型発達のお子さんたちが少しずつお話し始める中、話す気配のないことをご両親はとても心配なさっていました。

言語指導の中では、ダウン症のお子さんの言語発達は一般的にゆっくりな経過をとることをお伝えしながら、その時その時の発達に必要な関わりをご両親と確認していきました。

具体的には、ことばで話す前に身振り・ジェスチャーといったサイン言語で意思表示を開始するお子さんが多いことから、周囲の大人がサイン言語を使った関わりを行うことを助言しました。

少しずつお子さんがサイン言語を真似して使えるようになったころ、指導場面で初めて「ママ」とお母さまのことを呼びました。

最初、お母さまは「ん?」といった表情であまり気づかれていないようでしたが、「今、ママって言いましたね!」「ことばを使いましたね!」とお伝えすると、「やっぱりそうですよね!!」と言ってお母さまは感動から泣いて喜ばれていました。

こんな瞬間に立ち会えることも、小児分野で働く言語聴覚士のやりがい・魅力のひとつだと思います。

「まさか食べさせてあげられるとは思わなかった」重症心身障害をもつお子さん

重度の肢体不自由と重度の知的障害を併せ持つ状態を重症心身障害ということがあります。

このお子さんは、寝たきりで唾液の飲み込みが上手くいかないために日中に喀痰吸引が必要な状態でした。

そのため、口から食べ物を食べるといったことはこれまでしたことがなく、鼻から胃までチューブを挿入して栄養剤を注入することで栄養をとっていました。

お会いしてご両親にお話を聞いてみると、「少しでいいから手料理を食べさせてあげたかった」とおっしゃっていました。

このご両親の希望を主治医や理学療法士といったお子さんに関わる専門職チームで共有し、体調に細心の注意をはらった上で、このお子さんにお母さまの手料理を食べさせるプロジェクトを開始しました。

具体的には、腹臥位(うつ伏せ)の姿勢をとることで、口の中に入れた少量の食べ物と唾液は飲み込まずに口の外に出るようにして、味だけを楽しめるように姿勢を理学療法士と工夫しました。

また、その様子を医師にも見てもらいながらリスク管理を行い、まずは食物アレルギーの有無を確認するために、にんじん、カボチャなどの食材を少量なめるところから開始しました。

ある程度の食材についてアレルギーの有無を確認し終えたところで、お母さまに味噌汁を作ってきていただき、具をミキサーにかけて、汁にはとろみをつけて、お子さんの口の中に少量いれてみました。

その瞬間、笑顔でお母さまと笑いあっており、それを見ていたスタッフ全員が少し涙ぐんでしまいました。

ご両親も「まさか食べさせてあげることができるとは思わなかった」とおっしゃっており、「まさか」をかなえることができ、親子の思い出の一瞬に立ち会えたことは僕自身の一生の思い出になるであろう瞬間でした。

まとめ:小児分野の言語聴覚士はとてもやりがいのある魅力的な仕事

小児分野のリハビリテーションにおける言語聴覚士は、全国的にもまだまだ人数が少ないです。

しかし、子どもたちの現在のみではなく、未来をも対象とする言語聴覚士の重要性は少しずつ認知されてきています。

今後、小児を対象とした言語聴覚士という仕事の需要は高まってくることが予想されますし、そのニーズに応えるような環境を整備していかなくてはなりません。

言語聴覚士はとても魅力的な仕事だと思います。小児分野への就職に興味を持っていただけた方は、次の記事もお読みいただけたらと思います。

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