【体験談:例文あり】英語論文が掲載されるまでの流れと査読の期間と対応

英語論文へ挑戦しようと思っている臨床家「英語論文を書いてみたいけど、論文が掲載されるまでの流れを知りたい。査読にはどのくらいの時間がかかるのか、査読対応はどのようにやったらいいのかを知りたい。使える英語表現なんかも教えてもらえると嬉しいな」

そんな疑問におこたえします。

この記事を書いた人

Twitter(@hagukumichild

私は、言語聴覚士として発達に障害をもつ子どもたちの言語指導や摂食嚥下指導を行っています。

このブログを始めてからのはじめての英語論文が先日受理されました。

特に、今回の論文は初稿からAccept(受理)まで長い道のりで苦労が大きかったので、記録として残しておこうと思ったのと、似たような境遇の方の力になれたらと思って記事を書いています。

ただ、僕の場合には臨床がメインの仕事であり、研究は臨床の合間に取り組んでいたため研究職の方とは少し経験が異なるかもしれません。

僕の経験が、あなたの論文執筆に少しでも役立てばうれしいです。

それでは、さっそくご紹介します。

英語論文の掲載が決まるまでの僕の実例

掲載が決まるまでの実例

研究スタート

研究を始める前に、研究計画を立て、職場の倫理委員会に申請を行いました。倫理委員会で研究が承認された後、研究を開始しました。研究のデータ収集自体はスムーズに進めることができました。

論文作成~完成

研究結果は、まず学術集会でポスター・セッションで発表しました。その後、学術集会でいただいた質問やコメントも参考にしながら論文を作成しました。論文が完成したら、上司に許可をもらい、英文校正を行いました(この部分は下でもう少し詳しくお伝えします)。英文校正が終わったところで、原稿を最終確認し、ジャーナルに投稿しました。

投稿①:Dysphagia(IF: 3.438)

投稿後10日程度で論文が査読に回りました。その後、3カ月程度で査読結果が返ってきたのですが、残念ながら不採択(reject)となりました。しかし、20項目にわたる査読コメントもいただけ、論文のブラッシュアップにはかなり役立ちました。

投稿②:Developmental Medicine & Child Neurology(IF: 5.449)

なぜか強気にDysphagiaよりもIFの高い雑誌に投稿しました。結果は、投稿2日後に不採択(reject)の通知が跳ね返ってきました。エディターキックってやつですね。査読にも回っていないので、論文に関するコメントはありませんでした。

投稿③:Journal of Intellectual Disability Research(IF: 2.424)

エディターキックでコメントももらえなかったため、前回の原稿をほぼそのままの形で投稿しました。投稿後10日程度で論文が査読に回りましたが、その後6カ月経っても音沙汰がなく…、査読状況のお伺いメールをこちらから出したところ、その後は2週間程度で結果が返ってきました。しかし、結果は不採択(reject)。編集委員からのコメントは、対象者数が少ない+ジャーナルの趣旨と論文内容が少しずれているとのこと。ちょっとやるせない気持ちになってしまいましたね。

投稿④:Laryngoscope(IF: 3.325)

気を取り直して、別の雑誌に投稿しました。しかし、こちらも投稿2日後にエディターキック。さすがに気持ちが萎えました。投稿先のジャーナルの投稿規定に合うように論文の体裁を整えるのって結構大変なんですよね…。それが2日でrejectが確定するのはだいぶショックでした。

投稿⑤:Journal of Speech, Language, and Hearing Research(IF: 2.297)

あまり立ち直っていない状態で、次の雑誌に投稿しました。こちらは、投稿4日後くらいに査読にまわり、内心ホッとしていましたが、その3カ月後に不採択(reject)通知が届きました。ただ、こちらでは10項目程度の査読者からのコメントもいただくことができ、内容も個人的にはかなり勉強になりました。一つずつ修正して、次の投稿先に進めることにしました。

投稿⑥:投稿先は内緒(IF: 1.963)

ついに、受理(Accept)された雑誌です。雑誌名を明かしてしまうと、僕が誰なのかがバレてしまうので内緒のままでお伝えさせてください。

投稿5日後程度に査読に回りました。その後4カ月程度して査読の結果が返ってきたのですが、いきなりMinor Revision(若干の修正)!ちょっとテンションがあがりましたが、このチャンスを逃すとまた泥沼化しそうだったので、丁寧に修正と返答を行いました。

再投稿後1カ月程度で査読の結果がかえってきて、再度のMinor Revision(若干の修正)!英語文法の指摘があった程度で、論文の内容の修正はありませんでした。そのため、以下で紹介した業者に再度英文校正を依頼して投稿しました。

その後2週間程度して、みごと「Accept」の文字が!冒頭で紹介したようなツイートで、みなさんにも祝福してもらえました。

と、いうわけで、今回の論文に関しては、ツイートでは4つの雑誌と言いましたが、よくよく見返してみると合計6つの雑誌に投稿していました。エディターキックが瞬殺すぎて記憶から消し去っていたのかもしれません。論文完成から受理に至るまでトータル1年6か月程度にも及ぶ長い長い戦いでした。

論文作成に使用した便利ツール

以下に紹介するツールは、すべて無料で使用できます。と、いうのも、僕の場合には職場研究機関とかではなく、一般のクリニックなので、論文作成ツールにお金をかけることができませんでした。

文献検索ツール

論文を作成するためには、先行研究を調べる必要がありました。自分の研究と関連する先行研究の調査には、以下の検索サイトを利用しました。文献に関しては、無料公開されているものはそのままダウンロードしましたが、インターネット上で公開されていない論文に関しては、著者にメールを送って「あなたの論文をください!」とお願いしました。なんだか図々しいような感じがしますが、ほとんどの著者が論文を送ってくれました。それでも手に入らない論文に関しては、自分の母校の大学の先生にメール「〇〇の文献を送ってくれませんか?」とお願いして取り寄せてもらいました(他力本願・・・)。そうすることで、文献収集にお金をかけることなく、必要な情報を集めることができました。

① Pubmed:医学系論文であれば、まずはこちらで検索することをおすすめします。

② Google Scholar:僕の場合には、上記のPubmedで検索にひっかからない場合に利用しました。検索結果は、引用された回数の多い順に並べられて表示されるので、重要な論文を見つけることができます。

英文作成ツール

① DeepL翻訳:翻訳サイトです。英文を作成するときに使用しました。日本語を打ち込むことで、精度の高い英文を返してくれます。このサイトに突っ込むことで全ての英文を作ることは難しいですが、表現に迷って場合には一度翻訳をDeepLにお願いすると良い表現に巡り合えることもあるかと思います。

② Ginger 英文チェッカー:出来上がった英文の文法をチェックする際に使用しました。英文を入力すると、再確認が必要な個所を教えてくれます。しかし、かならずしもGingerの指摘が正しいということはないようでしたので、最終的には自身での確認+英文校正でネイティブ・チェックが必要となるでしょう。

③ Grammarly:AIが英文を自動校正してくれるツールです。僕は上記のDeepLとGingerを駆使して作った英文を最終的にこのGrammarlyに入力しておかしなところがないかチェックしました。

掲載が決まるまでにかかった費用

研究自体にかかった費用

今回行った研究に関しては、研究に使用する機器の他に、対象者に研究参加の同意を得るための書類の印刷・郵送代がかかりました。ちなみに、統計解析についてはもともと職場にSPSS(解析ソフト)があったのですが、今回使用する解析がSPSSで対応していない解析であったため、フリーソフトのR言語を使用しました。

そのため、今回の研究自体には機器と書類などの雑費がかかっており、合計で約20万円が必要でした。さすがにこれらの費用を自腹で支払うわけにもいきませんでした(家族に怒られてしまう…)。そのため、その当時に募集していた研究助成に応募することにしました。3つの企業や財団、学会に応募し、結果、その中の1つから研究助成を頂けることになり、これらの研究費用をまかなうことができました。この助成金をもらうまでにも色々と苦労があったのですが、別に機会に紹介できたらと思います。

英文校正(上司への相談用)

僕の場合、2段階に分けて英文校正を行いました。

まず、論文が大体完成したところで、上司に報告して英文校正費を職場から出してもらえないか交渉する前段階に一度、自腹で行いました。

これは、大手の英文校正は個人で負担するには少し値段が高いことから、できれば職場から援助してほしいと思ったのですが、そのためには完成した論文を見せながら上司に交渉する必要がありました。

完成した論文の英文の読みにくさから交渉が決裂してしまうことを避けるために、最低限の英文校正を行うことにしました。

今回、僕が利用したのはアイディービジネスという英文校正の会社です。

まだ上司に見せる段階で、実際のジャーナルに投稿するわけではなかったので、自分で気になるセンテンスなどを中心に校正を依頼しました。

アイディービジネスでは、「定期券」という制度で、30日間、1日1回50単語まで校正してくれて、9800円というサービスがあります。僕は自分の英語ライティングの力も伸ばしたかったため、この「定期券」を利用することにしました。

完成した論文の中で、自信のないセンテンスを中心に、毎日1~2文の校正を行ってもらいました。毎日少量ずつの校正だったため、戻ってきたセンテンスをじっくりとながめる時間も確保できました。以前に論文をまとめて校正に出した際には、膨大な修正箇所が一度に送られてきて、ろくに確認もせずにジャーナル投稿してしまった失敗を今回は是正しようと思ったのがアイディービジネスの定期券を利用しようと思ったきっかけでした。

アイディービジネスの定期券では、満足しなかった場合の返金制度もしっかりしているようですが、僕の場合は毎日少しずつコツコツ英文校正を依頼しながら、戻ってきた原稿を見て自分の書いたセンテンスの答え合わせができたのは、英文ライティングの勉強としてはかなり有意義だったため、30日間しっかりと使い切りました。おかげで、カバーレターなどは自分である程度自信をもって英文を書けるようになったと思っています。

そうやってできた論文を手に、上司に「医学論文の英文校正を専門とする業者に出したいので援助してほしい」とお願いしたところ・・・、数週間後にOKを頂けました。そして、以下のエディテージという業者に、全額職場負担で英文校正を依頼することになりました。

英文校正(ジャーナルへの投稿用)

ジャーナルへの投稿前には、editageという業者に英文校正を依頼しました。英文校正の業者については、職場の医師に相談していくつか候補となる業者をあげてもらい、ホームページなどを確認しながら選定しました。そして、editageは医学論文の校正の歴史と実績も豊富とのことでしたので、最終的に依頼することにしました。

英文校正費は、約25000円くらいでした。全額職場から出してもらえたので本当に助かりました。

投稿料

投稿する雑誌によっては、投稿料が発生する場合があります。今回の論文の場合には、投稿先のジャーナルを選択する際に、投稿料がかからないところを選びました。

かかった費用の合計

と、いうわけで、自腹で支払った費用は英文校正のアイディービジネスに支払った9800円でした。これに関しては英文ライティングの勉強のためにもかなり有用だったので、自己投資の意味合いも込めると金額自体には納得しています。

職場から支払ってもらった英文校正費25,000円を含めると、約35,000円かかったことになりますね。その他、研究自体にかかる費用を合わせると、安い金額ではありませんが、僕の場合には職場の理解を得ることができたので、最低限の出費に抑えられたように思っています。

査読対応(英文の実例あり)

論文を投稿すると、「査読」といってその分野で活躍する研究者の方に論文が送られ、投稿先のジャーナルへの掲載が妥当かどうかを審査してもらいます。その際に、査読者から頂くコメントに1つずつ答えていく必要があります。初めて英語論文を書く場合には、この査読に対してどのような書式で、どうやって返答を書いてよいのか分からず途方に暮れてしまうこともあるかと思います。実際に僕も、「査読コメントへの返事ってどうやって書くの?」「書き方のテンプレートってないの?」と苦労したので、以下にこのあたりの疑問を解決できるように解説しますね。

査読コメントへの返事 (Response to Reviewers)

査読コメントへの返事は Response to Reviewers (R to R)と呼ばれることが多いです。僕の場合には、①査読への感謝のことば、②個々の査読コメントの転記、③査読コメントへの返答という順で記載していきました。具体例を以下に示します。

①査読への感謝のことば:

Response to Reviewers

              The authors truly appreciate detailed and specific comments from the editor and all the reviewers. They were very helpful to make careful revision of our manuscript. We did all possible efforts to respond or incorporate every suggestions and propositions, and hope that changes made in the manuscript meet approval. The point-by-point responses to your questions/suggestions are provided below. The revisions are also indicated with a vertical line in the left margin in the revised manuscript.

②個々の査読コメントの転記

Reviewer #1:

Comment 1: [ここに査読者から頂いたコメントをコピペします。]

③査読コメントへの返答

Response 1: Thank you for your kind suggestion. [ここから査読コメントに対するお返事を記載していきます。]

これ以降は、②個々の査読コメントの転記→③返答を繰り返し、すべての査読コメントにこたえていきます。査読者の方は、一流の研究者であることが多く、多忙の中で自分の研究を審査してくれている場合が多いです。敬意を忘れないように、丁寧な返信を心がけましょう。

カバーレター

上記の Response to Reviewers (R to R)が完成したら、カバーレターをつけて再投稿します。僕の場合のカバレターの例も紹介しますね。

[再投稿の日付]

Dr. [編集長の名前]

Editor-in-Chief

[投稿先のジャーナル名]

Dear Dr. [編集長の名前],

Thank you for your letter with the Reviewer’s comments on our paper entitled “[投稿した論文のタイトル]”. The reviewer felt that this study is interesting and shows new findings, though there are a few minor problems which should be solved before publication. Therefore, we made changes according to the reviewer’s comments and suggestions.

In our revised manuscript, [修正箇所について簡単に説明]. Finally, we believe all problems have been solved.

Please find enclosed our revised manuscript, figures, and Responses to Reviewers.

Thank you for your kind attention to this matter. We look forward to hearing from you at your earliest convenience.

Yours sincerely,

[自分の名前、住所、連絡先など]

まとめ

今回、僕が経験した英語論文の作成~掲載までの流れと、使用したツール、かかった費用、査読コメントへの返信(例文あり)を解説しました。

正直、今回の論文は長丁場で、大変でしたが、なんとか形になってよかったです。僕の経験がみなさんのお役に立てればうれしいです。ぜひ、論文作成にチャレンジしてみてください!

英語論文の読み方については、以下の記事をお読みください。

【英語が苦手な療法士】論文の読み方のコツ:ツールを活用セヨ【リハビリ業界】

利用した英文校正

アイディービジネス

editage

英文作成で参考にした本

英文の作成についてかなり詳しく解説されています。巻末に記載されている例文集はかなり参考になります。

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