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【構造化:実例あり】自閉スペクトラム症の子どもの支援の基本

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自閉スペクトラム症の子どもの支援方法を模索している親「着替えなどの朝の準備などの流れがなかなか定着しない。なんで何度いっても分かってもらえないんだろう?構造化という方法を聞いたことがあるけど、どういう支援なんだろう?具体的に教えてほしいな。」

こういった疑問におこたえします。

記事の信頼性

私は、言語聴覚士という資格で、発達障害をもつお子さんたちのことばの指導を15年以上担当しています。自閉スペクトラム症をもつ子どもたちのことばの発達支援の中でも、この構造化を用いながら関わりをもつこともあります。

今回の記事では、この構造化について解説します。では、さっそくはじめていきましょう。

自閉スペクトラム症をもつ子どもの苦手さ

自閉スペクトラム症をもつお子さんは、予測ができない状態や周囲の状況を理解することが苦手な場合が多いです。

そのため、日常の中で「今、何をするのか?」「この後、どうなるのか?」といったことが分かりにくい状況だと混乱したり、不安を感じやすいといわれています。

加えて、自閉スペクトラム症のお子さんたちの中には、聞いた情報を理解するよりも見た情報を理解することが得意な子たちが多くいます。

そのため、ことばで伝えた情報が十分に伝わらず、誤解していたりすることもあります。

このような見通し・状況理解・指示理解を理解することを助けるための工夫が「構造化」です。

構造化とは?

自閉スペクトラム症のお子さんたちに、周囲の環境を整理することで情報を理解しやすく伝える手段のことを構造化といいます。

簡単にいうと、構造化は写真やイラスト、文字などの視覚情報を使いながら、お子さんに伝えたい情報を「視覚化(見える化)」した上で整理して伝えることで理解を助ける手法ということになります。

構造化によってお子さんの理解を助けることで混乱を防ぎ、落ち着いて活動(遊びや課題)に取り組めるようにすることが目的になります。

時間の構造化

自閉スペクトラム症のお子さんは、「時間」のような抽象的な概念の理解を難しく感じている場合が多いです。

「何を」「どういう順番で」「いつまで」やるのか?といったことを直感的に把握することができず、先の見通しが立たないため、「いつまでやるのか?」「次はどうしたらいいのか?」などと不安になりやすいところがあります。

これらのことを、ことばで伝えるだけで納得して不安が解消されるお子さんもいます。

しかし、自閉スペクトラム症のお子さんでは、ことばで説明されるよりも見て理解することが得意な場合が多いため、時間の流れを視覚化(見える化)することでより伝わりやすくなるでしょう

具体的には、下のイラストのように、時間の流れをイラストや文字で並べてあげると分かりやすいお子さんが多いようです。

一度に示す情報の量はお子さんの理解度に合わせて調整してあげるてください。場合によっては、次の活動だけを示す形が良いお子さんもいるかと思います。

いくつかのスケジュールをまとめて提示できるお子さんなら、終わったスケジュールから順にイラストを外していったり、終わったスケジュールに花丸をつけてあげたりすると、達成も感じやすくなるかもしれません。

スケジュール

ことばで伝えられた指示は見返すことができませんが、スケジュールという視覚情報にしてあげることで、いつでも見て確認できるようになります。そのため、仮に指示を忘れてしまったとしても指示内容をスケジュールを見返すことで確認できる点で安心感を与えることができます。

さらに、日頃からスケジュールを利用して慣れておくことで、急な予定の変更や運動会や発表会などのイベントの予定なども効率的に伝えることができるかもしれません。

ただし、スケジュールを使用する時に、気を付けていただきたいこともあります。

自閉スペクトラム症のお子さんたちは、視覚情報をかなり頼りするため、視覚的に示された情報に関しては多少イヤでも従ってしまうこともあります。

スケジュールを使用する時には、保護者からの一方的な命令となってしまわぬように、適宜「どっちが先がいい?」などとお子さんと相談しながらスケジュールを組むなどして、お子さんが納得して取り組めるような配慮をしてあげてください。

そのようなやりとりの中で、相手に拒否を伝えたり、援助を求めたりといったスキルを練習しておくことも、お子さんの成長に大切なことになっていくと思います。

空間の構造化

「どこで」「なにを」「どのように」するのか?といったことを周囲の状況をみながら把握することに苦手さがあるお子さんも多いです。

このようなことも「視覚化(見える化)」してあげると分かりやすく伝えることができます。

例えば、日常的な物の位置を分かりやすく示してあげると、情報が整理されて安心につながる場合があります。

下のイラストのように、どの箱に何を入れるべきかを見て分かるようにしてあげるのも良いでしょう。

その他、テレビのリモコンの置き場、ティッシュの位置など日常の生活の中で良く使うものに関しては、それぞれの位置をある程度決めてあげると混乱させずに済むことが増えるかもしれません。

構造化

また、行動と場所を対応させてあげることも、安心につながる子が多いようです。

「遊ぶ場所」「お勉強の場所」「食べる場所」などを見て分かるようにしてみると良いかと思います。

例えば、カーペットの上は「遊ぶ場所」、机の上は「お勉強の場所」などと決めてあげたり、食事の時にはテーブルクロスをかける等して同じテーブルでも用途で見た目を変えたりすることもできます。

構造化

さらに、生活の中で子どもたちに「ちょっと待ってて」「その辺にいてね」などと声かけすることも少なくないのではないでしょうか?

しかし、自閉スペクトラム症の子どもたちには「ちょっと」「その辺」といった曖昧な表現の理解に苦労している子が多くいます。

例えば、「ちょっと」の部分は「タイマーで1分」「お友達が10回やったら」などと出来るだけ具体的に伝えるようにしましょう。

「その辺」については、下のイラストのように足型を置いてあげたり、「椅子に座っててね」などと具体的に場所を伝えたりしてあげると、分かりやすくなります。

まとめ:構造化で子どもの混乱を防ごう

今回は構造化について紹介しました。

自閉スペクトラム症のお子さんへの支援でよく使われる方法ではありますが、お子さんによって向き・不向きもあるように思います。

お子さんに試してみて、生活が穏やかになるのか、ストレスが増えていないかなどを丁寧に観察しながら、検討してみてください。

構造化が上手く使えるお子さんであれば、日常の情報を構造化することで、子どもやお子さんの世話をする保護者の方の安心感を増やせることが期待できます。

いきなり完璧に構造化を行うことは難しいと思いますので、取り組みやすそうな部分から少しずつ試してみることをおすすめします。

もっと詳しく知りたい方へ

自閉スペクトラム症をもつお子さんの特性を丁寧に解説してくれています。なぜ、構造化という方法が必要なのか、具体的にどのように日常に取り入れるのかといった知識を深めたい方におすすめの1冊です。


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