
「最近、なにかにつけて「なんで?」「どうして?」と質問攻め。なんだか、疲れちゃったよ…」
こういったテーマで記事を書いてみようと思います。
- なぜなぜ期が言語発達に大切な理由
- 因果関係の理解・説明が育つ時期
- なぜなぜ期にオススメの関わり方
先日、以下のようなツイートをしました。
し、しつこい…。何かと「なんで?」と質問してくる『なぜなぜ期』。実は、この時期には物事の説明の仕方も学んでいます。「だって、~だから」という言い回しが使えるようになるのもこの頃。同じことを何度も質問しますが、やりとりを楽しみながら付き合ってあげましょう。
— ゆう@子ども専門の言語聴覚士 (@hagukumichild) March 21, 2022
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し、しつこい…。何かと「なんで?」と質問してくる『なぜなぜ期』。実は、この時期には物事の説明の仕方も学んでいます。「だって、~だから」という言い回しが使えるようになるのもこの頃。同じことを何度も質問しますが、やりとりを楽しみながら付き合ってあげましょう。
今回は、こちらの内容を掘り下げてみようと思います。
なぜなぜ期が子どもの言語発達に大切な理由

少なくとも、以下の3つは「ことばの発達」に大切です。
- 物事の因果を学ぶ
- 物事の説明の仕方を学ぶ
- やりとり自体を楽しむ
順番に解説していきます。
理由①:物事の因果を学んでいるから
因果=「こうしたら、こうなる」
このような因果関係に興味をもつ時期と、なぜなぜ期は重なることが多いです。
例えば、以下のような関係性を理解するようになります。
- 拭いたら→キレイになる
- 食べすぎると→お腹が痛くなる
- 服を着ないと→風邪をひく
など。
こういった因果関係は、生活のあらゆるところにありますよね。
興味の対象も広がるので、手当たり次第に「なんで?」「どうして?」と質問攻めをするわけです。
理由②:物事の説明の仕方を学んでいるから
「だって、~だから」
なぜなぜ期がはじまって少したつと、上記のような言い回しができるようになってきます。
おそらく、「なんで?」と質問攻めをする中で、大人が「だって、~だからだよ」というのを何回も聞いたんでしょうね。
- 「~だからだよ」
- 「だって、~になっちゃうよ」
のように、日常生活の中で理由を説明するときの言い方はある程度パターン的です。
まずは「型」を覚えて、それに当てはめるようにしながら、子どもも説明できるようになってきます。
「なんで、食べちゃったの?」→「食べちゃったから」
上記のように、返答内容はイマイチでも、「~だから」という「型」だけ合っているという子もいるのではないでしょうか。
最初は、こうやって真似しながら、少しずつ自分のものにしていく場合が多いです。
理由③:やりとり自体を楽しんでいるから
知っているはずのことを、しつこく聞いてくる
こういう姿がみられるのも、なぜなぜ期の特徴ですよね。
なんで、知っているし、説明することができることを、何度も何度も質問してくるのでしょうか?
おそらく、その行動の背景には、以下のような気持ちが隠れているのでは?
- 本当にそうなのか確認したい(何度も聞きたい)
- 他にも理由があるのではないかと考えている
- 「質問→回答」のやりとりが楽しい
この中でも、「質問→回答」のやりとり自体を楽しんでいる子は多いように感じます。
『質問したら、答えてくれた』という繰り返し。子どもにとっては案外これだけでおもしろいんですよね。
会話の原型のようなものなので、こういった「やりとり」を楽しむこと自体が、ことばの発達にも良い影響があると思っています。
しつこい ケド、意味のある「なぜなぜ期」
このように、質問攻めでしつこく感じてしまいやすい「なぜなぜ期」ですが、ことばの発達にとても大切な側面もあります。
では、この時期の子どもとは、どのように関わってあげたら良いのでしょうか?
そういったテーマで、解説を続けようと思います。
なぜなぜ期の子どもの言語発達を育む関わり方

以下のような関わりが大切だと思います。
- 質問に答える
- 一緒に調べる
- 質問返しをしてみる
順番に、解説します。
関わり①:質問に答えてあげる
当たり前ですが、質問には答えてあげましょう。
質問→回答
といった会話のキャッチボールの基礎となります。
もし、質問に対して答えが返ってこなかったら…。「質問されてもスルーしてOK!」と誤ったことを学習してしまうかもしれないですよね。
って思いますよね。
実際に、僕も上記のようなことがたびたびあります。
そんなときでも、以下のような一言を返しておくのが大切だと思っています。
- 「ちょっと待っててね」
- 「後で、お話を聞くね」
- 「これが終わったらね」
など。できるだけ、具体的に見通しを伝えてあげるにこしたことはないですが、曖昧だとしても何も伝えないよりはマシです。
「聞かれたら、答える」という基本姿勢
要するに、これを大人が身を持って実践して見せてあげるのです。
関わり②:一緒に調べてあげる
もし、余裕があったら、子どもの質問に対して一緒に調べてあげるのもオススメです。
例えば、上記のような図鑑を一緒に開いてみるのも良いかと。
また、この時期の子どもの好奇心はすさまじいです。親が知らないようなことまで疑問にもつことも。
- 大人でも分からないことはある
- 分からないことは恥ずかしいことではない
- 分からない時の解決方法
こういったことを行動で示してあげることも大切です。
調べたことで知識が増えることも良いですが、実は親と一緒に、同じ目標に向かって取り組んだという経験が、子どもにとっては楽しい場合も多いです。
全てを教えてしまうのではなく、子どもが達成感を得られるように、さりげなく誘導してあげましょう。
関わり③:質問をそのまま返してみる
子どもが何度も同じ内容の質問をしてくるときには、質問で返してみるのも良いと思います。
例えば、以下のような感じ。
- なんで、歯磨きするの?→なんでだと思う?
- どうして、寝るの?→寝ないとどうなる?
他にも、クイズ形式にして返してあげるのも楽しいかもしれません。
質問返しすることで、子どもが知識を説明する機会をもつことにつながりますし、子どものユニークな考えに気づけるかもしれません。
頭ごなしに「ちがうよ」と否定するより、一度は「へぇ~、そうかもね」と受け止めてあげると良いかもです。
誰だって、一生懸命に考えて伝えたことを、即座に否定されたら悲しくなりますよね。子どもだって同じ。
いったん受け止めてあげた上で、「パパは~だと思ったな」と伝えたり、時間があれば上記のように一緒に調べたりしても良いですね。
いずれは終わる「なぜなぜ期」、せっかくなら楽しもう
「子ども質問に付き合うのが大変だな」「毎日、しつこく聞かれてシンドイな」このように感じている人もいるかもしれません。
実際に、僕も我が子が「なぜなぜ期」真っ只中のときには、上記のように感じるときもありました。
でも、発達にともなって、いずれ「なぜなぜ期」は終わります。不思議なもので、終わってしまうと懐かしく・かわいらしい思い出となるんですよね。
というわけで、今回はここまで。
子どもの発達を楽しむには、『親の余裕』が不可欠です。
サポートを受けたり、気分転換をしたりするのはもちろんですが、発達の知識も役に立つかもしれません。
- この状況がいつまで続くのか?
- いつになったら、〇〇ができるのか?
- 今は、どんな関わりが必要なのか?
こういった見通しを知れると、少し気持ちが楽になりませんか?少なくとも、僕はそうでした。
何事もそうですが、見通しが立たない状況、よく分からない状況というのは不安を感じやすいものです。
P.S.ことばの発達については、以下の記事で解説しています。
何かのお役に立てるかもしれません。
