
「ふざけることが多すぎて困った。なんで、相手が困っているのにふざけ続けるんだろう?もう疲れちゃったよ…」
こういった悩みをテーマに記事にしてみようと思います。
- ふざける子どもに対処する前にすべきこと
- 背景にある気持ちを考えることが大切
- 気持ちが分かれば、支援方法は見えてくる
先日、以下のツイートをしました。
いっけんおふざけに見える行動でも、実は困った気持ちをどう表現して良いのか分からずに「おふざけ」として出しているのかも。だとしたら、怒ってやめさせるのは違うよね。困ったことを適切に相手に伝える方法を身につけられるよう支援したい。行動のバリエーションを広げることが大切。
— ゆう@子ども専門の言語聴覚士 (@hagukumichild) January 6, 2022
いっけんおふざけに見える行動でも、実は困った気持ちをどう表現して良いのか分からずに「おふざけ」として出しているのかも。だとしたら、怒ってやめさせるのは違うよね。困ったことを適切に相手に伝える方法を身につけられるよう支援したい。行動のバリエーションを広げることが大切。
上記を深堀りした記事です。
子どもの「おふざけ」に困っている人へ、僕が大切にしている考えを解説します。
ふざける子どもに対処する前に、背景にある気持ちを考えよう



ふざける子どもを前にしたとき、最初にやるべきは以下のこと。
背景に隠れている気持ちを探る
案外、大人を困らせるようなおふざけの背景には、子ども自身が困っている感情が隠れていることが多いです。
背景に隠れている気持ちを探る
あくまで僕が大切にしている考えですが、以下のとおり。
- 子どもを行動だけで判断しない
- 気持ちをうまく表現できない子は多い
要するに、子どもの行動には理由があるけど、それをうまく言語化できない子が多いということ。
なので、「おふざけの理由」を見つけ、そこに対処することが大切というわけですね。
子どもの行動の理由は、複数の人で探すといい
子どもといっても「人」です。他人の気持ちを推測することは難しいので、ひとりで考えないで仲間と検討しましょう。
自分一人で考えていると、どうしても偏った見方になってしまいます。対象の子どもとの距離が近い場合には特に。
まずは、色々な可能性をあげてみましょう
最初から結論を出そうとするのではなく、たくさんの可能性を出しておくことが大切。
たぶん、大人を困らせている“おふざけ”は様々な場面でやっていると思うので、それぞれの場面で共通した「問題」を整理するようにしてみましょう。
僕が担当していたAくんは、机の上のプリントなどをグシャグシャっとしてしまうことが多くありました。
保護者の人は「また、ふざけている」と言っていましたが、少しの理由を考えてみました。
- テンションが上がっている
- 感触が楽しい
- うまくいかなくてイライラ
など。同僚にも手伝ってもらって、この他にも色々な可能性を考えました。
そして、Aくんがグシャグシャっとする複数の場面を見ていると、共通してグシャグシャする前に困った表情をしていたのです。
たぶん、何かしらうまくいかなくて困っていたんでしょうね。
決めつけて考えるのは、NGです
「きっと、〇〇に違いない!」と決めてかかるのはNGです。子どもはロボットではないので、そんなに単純ではありません。
- ある時は、困った時にふざける
- ある時は、イライラした時にふざける
- ある時は、飽きた時にふざける
上記のような子はわりと多いように思います。
これらに共通するのは「困った」「イライラした」「飽きた」などのネガティブな感情を“おふざけ”として表現していること。
こういった気持ちをうまく表現できずに、苦し紛れにおふざけ行動として表現しているとしたら…、怒ってやめさせるだけではダメですよね。
背景にある気持ちを大切にすれば、支援方法が見えてくる



おふざけ行動の背景にある気持ちが分かれば、それに対処してあげれば良いと思います。
以下の3つは、わりとよくある例です。
- その①:感情をうまく表現できない
- その②:自分に注目して欲しい
- その③:周囲の状況理解が苦手
順番にみていきます。
その①:感情をうまく表現できない
上記のAくんみたいな感じですかね。自分の感情をうまく表現できず、苦し紛れに「おふざけ」をしているパターンです。
この場合には、感情の伝え方を教えてあげることが必要だと思います。
子どもの感情を言語化しながら関わる
例えば、「楽しいね」「疲れたね」など。大切なのは忖度せずに、子どもの本音をちゃんと言語化してあげることです。
具体的には、転んで泣いている時に「痛くない!大丈夫!」と暗示をかけるのではなく、「痛かったね」といったんは感情を認めてあげてほしいと思います。
ポジティブな感情も、ネガティブな感情も、「今、あなたが感じている気持ちは、こういう言葉で表現できるよ」ということを聞かせてあげましょう。
その②:自分に注目して欲しい
自分のことを見てほしいばかりに、おふざけをして大人の注意を引いている場合です。
この場合には、上手な注意の引きつけかたを教えてあげることが必要だと思います。
- 「ねぇねぇ」
- 「見て!」
- 「ほらっ」
など。僕たちは相手の注意を引きつけるために、自然と上記のような声かけや関わりをしています。
このような注意喚起を子どもができるように促していくことが大切。
具体的には、「パパに、『見て!』って言ってきて」とお願いするなど、言い方のモデルを伝えた上で実践するのが良いかもしれません。
まだ、そこまで言葉が出ていない子であれば、相手の肩をポンポンと叩く行為を一緒にやってみるのも良いかも。
子どもに合った注意喚起の方法を見つけましょう。
よく「不適切な行動は無視しましょう」って言われますよね。
でも、僕は無視するだけじゃダメだと思うんです。子どもにしてみれば、どうにかして注意を引こうと思ってやった行動が無視されたのでは、どうしていいのか分からなくなってしまいますよね。
場合によっては、もっとエスカレートした行動を示す場合も…。
というわけで、必要に応じて無視も使いつつ、『効率的な方法を伝える』のが大切だと思います。
その③:周囲の状況理解が苦手
もう一つ。本人には悪気がないけど、周囲を困らせてしまっている自覚がない場合。要するに周囲の状況理解が苦手なケースですね。
このような場合には、周囲の状況を理解できるような関わりが必要になります。
「相手はどう思っているかな?」
という思考ができるように支援していきましょう。
最初は、「大きい声だされると、ママは困っちゃうな」などと、直接感情を伝えてあげるのも良いかもしれません。
分かることが増えてきたら「○○君は、どんな気持ちかな?」など、相手の感情を考える経験をもつのも良いでしょう。
どうしても、「○○君、困っているでしょ」「○○ちゃん、嫌がっているよ」などとネガティブな感情について話題にあげることが増えがちになってしまいますよね。
でも、ここでは意識的にポジティブな感情も話題にあげてください。なぜなら、「感情=いやなもの」となってほしくないからです。
例えば、「○○君、うれしそうだったね」とか、「○○ちゃん、喜んでくれたね」とか。
周囲を見て相手の感情を推測する場面が、いつも子どもにとって嫌な場面とならないように気を付けましょう。
補足:実は困っているかも?という視点が大切
このように、いっけんすると、おふざけで相手を困らせているように見えるかもですが、実は子ども自身が困っている場合も少なくありません。
特に、習い事など、あまりおふざけをしてほしくない場面に限って、おふざけしてしまう子も少なくないですよね。
このあたりは、以下の記事で詳しく僕の考えを書いたので、併せてお読みいただけるとうれしいです。
》習い事でふざける発達障害をもつ子の気持ちとは?実は困っているのかもしれない
それでは、今回はここまで。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。