★ はぐくみブログ | HAGUKUMI blog ★

小児分野の言語聴覚士で成長したいなら、守備範囲を自ら狭めないほうがいいと思う

このサイトの記事内では「アフィリエイト広告」などの広告を掲載している場合があります。

消費者庁が問題としている「誇大な宣伝や表現」とならないよう配慮してコンテンツを制作しておりますのでご安心ください。

問題のある表現がございましたらお問い合わせよりご連絡いただけますと幸いです。

言語聴覚士「小児分野で成長していきたい。やっぱり、小児の中でも自分の専門分野を作って特化させていった方がいいのかな?」

こういったテーマで記事を書いてみようと思います。

この記事の内容

  • 臨床の守備範囲は狭めてはいけない
  • 守備範囲を狭めてしまった先の未来
  • 臨床の幅を広げる方法

「小児分野の言語聴覚士として一人前になりたい」「しっかりと成長していきたい」
このように思いますよね。

そのために、どのようなキャリア戦略をとれば良いでしょうか?

いっけん、小児分野の中でも専門特化して知識・スキルを高めていくことが効率的だと思う人も多いかもしれません。

でも、僕の場合は、それをしなくて良かったです。

小児分野の言語聴覚士で成長したいなら、守備範囲を自ら狭めないほうがいい

自分の臨床の幅を、みずから狭めるようなことはしてはいけません。

絶対に、守備範囲は広げておいたほういい

守備範囲=支援を提供できる対象の範囲

恩師のことば

「言語聴覚士として成長したいなら、できるだけ多くの対象者を支援できるようになりなさい」

これは僕が就職先に迷っていた時に恩師がくれたことばです。今では、これを信じて行動してきて本当に良かったと思っています。

「僕は、〇〇はみれません」なんて通用しない

最初に僕が就職したのは療育センターでした。その地域で、何か発達に心配なことがあれば、とにかく受診するようなところ。

なので、本当に色々な診断のお子さんに出会いました。

・重症心身障害
・脳性麻痺
・自閉スペクトラム症
・ADHD
・言語発達遅滞
・吃音
・構音障害
・聴力障害

など。とにかく、目の前にきた子どもと保護者に一生懸命に向き合う日々。

「僕は、〇〇障害の臨床は苦手なので…」なんて言える雰囲気すらありませんでした。

仕事が僕を育ててくれた

今思えば、正直シンドイ毎日でした。勉強することが尽きることなんてないし、新しいお子さんに出会うたびに、本を読んだり、論文を探したり…。

とにかく必死に働いていましたが、そのおかげで幅広く知識・経験を積み重ねることができたと思います。

専門を特化することなんて、いつでもできる

最初から専門特化する道を選んだ人を否定するわけではありません。

僕は、飛び込んで良かった

僕は弱い人間なので、逃げ道があれば逃げようとするんですよね。

でも、逃げ道がないなら向き合うしかない。療育センターでの仕事がまさにそれで、逃げ道も逃げるヒマもないので、向き合い続けるしかありませんでした。

「専門に特化する」という理由で、自分の好きな領域をやるような環境に行っていたら、たぶん苦手だと感じたことは逃げていたと思います。「僕は〇〇が専門だから…」とか言いわけして。

だから、若くて体力があり、いまいち分かっていないうちに、荒波に飛び込めて良かったなと。

【小児ST】守備範囲を狭めてしまった先にある未来

僕の友人の話です。

守備範囲を狭めてしまうのは、自信がないから

その友人は、僕と性格が似ていました。

「幅広くやるなんて、自分にはムリ」「対象を絞って、専門特化型のSTになるんだ」といって「口蓋裂の構音障害」のみを専門とする耳鼻科クリニックに就職していきました。

どんどん臨床の幅が狭くなってしまう

たぶん、こういった専門特化型の職場に就職しても、視野を広げていける人なら成長できるんですよね。

でも、僕と性格が似ている彼は違った。どんどん臨床の幅も、考え方も狭くなっていました。

就職して5年後くらい。久しぶりに友人と会って話をしました。そうしたら、彼の価値観は以下のような感じ。

  • IQが80以下の子は、構音訓練ができない
  • 口蓋裂以外の疾患だと、他の病院に紹介だよ
  • 自閉とかかぶっていたら、話が通じないし

正直、「終わっているな」と思いました(言葉が悪いですが、友人なので)。

たぶん、「口蓋裂の構音障害」という自分の知識があるところ以外は、逃げて過ごしてきたんでしょうね。僕は、全力で転職を進めました。彼の今後のためにも。

自分の臨床家としての価値も、転職先の選択肢も少なくなる

今、小児STの臨床の場で「〇〇障害に特化」というところが少なくなってきているように感じます。

当たり前ですよね。時代の流れでもあると思います。

そうなってくると、「〇〇しかできない」という臨床家の転職先はかなり限られるわけですよ。幸い、彼は5年目(20代後半)という若さがあったので転職できましたが。

彼の場合、転職エージェント(PT・OT・ST WORKERなど)が上手くマッチングしてくれたそうです。

教訓:逃げがちな性格の人こそ、最初に勝負しよう

僕や彼のように「逃げ癖」があるような人こそ、最初は幅広くやるべきだと思います。正直、大変ですが。

でも、最初に勝負しておくことで、幅が広がりますし、将来の選択肢も増えます。

小児STとして幅広く経験する道は、療育センター以外にもある

第一選択は「療育センター」、難しければ戦略的に転職しよう。

結論:療育センターに就職すべき

幅広く小児臨床を経験するなら、療育センターが手っとり早いと思います。全国的に、療育センターには様々な疾患・障害の子が集まる施設が多いことが理由です。

また、多くの専門職が働いているので、視野も広がると思います。

ただ、難点としては求人が少ないということですよね。

もうひとつの道:ジョブホッピングで幅を広げる

聞き慣れないことばかもですが、「ジョブホッピング」という選択肢もアリではないかと。

これは、僕が採用面接を担当した人の経歴から「すごいな」と感じたことがきっかけです。

戦略的に、転職を繰り返す

自分の中で「3年」とか「5年」とか区切りを決めて働き、30代前半くらいを目標にひととおり経験することを目指す感じ。たとえば、以下のような感じ。

「小児クリニック→放課後デイ→聴覚分野」

モチベーションを保つことが大変そうですが、職場が変わることで、様々な価値観にふれられて成長できるだろうなと感じました。

今は1つの職場にずっと勤める人も少なくなってきている時代ですし。わりと転職のハードルは下がってきていますよね。
》必見!言語聴覚士の転職サイトおすすめベスト3

まずは広げる。広げた後に絞るのはアリ

というわけで、今回はここまでにしようと思います。

人によっては、1つの専門分野を極めてから横展開していく方が向いている人もいるかもしれません。

この記事で紹介した内容には賛否両論あるかと思いますが、あくまで僕の場合ということで、何かの参考になれば。

そういう僕も、一度は幅広く知識を広げましたが、今はある分野に絞って研究・論文に取り組んでいます。

オールラウンダー+一部突出した強み

こんな臨床家になっていきたいなと最近では思っています。