子どもの発音の育ち方と時期別の対応を解説

「うちの子、まだ発音が幼くて心配だわ。周りの子の発音がしっかりしてきたのに、まだ赤ちゃんことばが抜けていないみたい。発音ってどういうふうに成長するんだろう。どうやって育ててあげたら良いのか知りたい」

こういったお悩みにこたえます。

この記事の内容

  • 発音を獲得するための前提
  • 獲得する発音の順番
  • 未熟な発音への対応の仕方

この記事を書いた人

Twitter(@hagukumichild

この記事を書いている僕は、言語聴覚士として子どもたちに発音の仕方を教えています。15年以上この仕事を続けてきた経験と知識から、『子どもの発音の育ち』について解説します。

発音に関するご心配やご相談をいただく機会は少なくありません。

小さい頃は未熟な発音でかわいらしくても、だんだん周りの子の発音がしっかりしてくると心配にもなってきますよね。

実は、発音の発達には順番があり、獲得には個人差も大きいことが知られています。そのため、お子さんの発達の状態に合わせた関わりをしてあげることが必要です。

この記事では、子どもたちが獲得する『発音の順番』について解説します。そして、時期別の『関わり方』についても紹介しようと思います。

それでは、さっそくお読みください。

正しい発音を獲得するための前提

正しい発音を獲得していくためには、以下のような前提が整っている必要があります。

  • 口の中の構造に異常がない
  • 耳の聞こえ(聴力)が正常

それぞれについてもう少し解説を加えます。

口の中の構造

産まれつき、口の中の構造に異常がある場合(唇顎口蓋裂など)には、手術などをして発音しやすい口の中の構造に整える必要がある場合があります。

多くの場合は、産まれた時に気づかれて対応がなされていることが多いですが、中には話し始めるまで気づかれずに過ごす子もいます。

代表的なのが粘膜下口蓋裂といわれるものです。

私たちは「あー」という時に口蓋垂(のどちんこ)が上にあがります。そうすることで、空気が鼻に抜けずに口から出るようになります。

ところが、子どもの中には、いっけん口の中は問題なさそうに見えても、口の奥にある口蓋垂(のどちんこ)が「あー」といった時に上がらず、鼻に抜けたような声となるお子さんがいます。

そのような場合には医療機関に相談してみましょう。

耳の聴こえ

子どもたちは、大人が話している発音を聞き、それを真似しながら覚えていきます。

そのため、聴力に問題がある場合には、日常の中で発音が学びにくくなります。

耳の聴こえに不安がある場合には、耳鼻科などで聴力検査をしてみることをおすすめします。

以下の記事では、聴力と言語発達に関して解説しています。

耳のきこえは大丈夫?ことばの発達が気になる子は聴力を確認しよう

獲得される発音の順番

発音の発達には、個人差は大きいものの、ある程度の順番があります。

必ずこの順番で発音が上手になるわけではありませんが、ひとつの目安としてごらんください。

年齢多くの子が完成する発音
2歳代母音、パ行、バ行、マ行、ヤ行
3歳代タ行、ダ行、ナ行、ガ行、チャ行
4歳代カ行、ハ行
5歳代サ行、ザ行、ラ行

くちびるを使って発音する「マ行」「パ行」の音は早期に獲得されます。これは、見た目にも発音が分かりやすいという特徴があるからでしょう。

それに比べると、「タ行」「カ行」といった舌の動きで音をつくる発音は獲得が難しい音になります。さらに、「サ行」「ラ行」などは小学校に上がる前(年長さん)くらいで、ようやくしっかりしてくる発音です。

発音の獲得に大切な2つのポイント

発音の獲得には、大きく分けて2つのポイントがあります。

  • 舌を器用に動かせる力
  • 正確に音を認識できる力

舌を器用に動かせる

私たちは舌を口の中で動かして発音しています。

小さい子どもはまだ大人ほど器用に舌を動かせないため、未熟な発音となっている部分もあります。

そのため、舌の運動を発達に伴って、発音が育ってくる部分も大きいです。

舌を上下・左右に動かしたり、くちびるをグルリと回るように動かしたりと舌の体操をしてみるのも良いと思います。

正確に音を認識できる

周りで言われている発音を正確に聞き取って認識する力も重要です。

例えば、大人が言っている音が「ら」なのか、「だ」なのか、正確に聞き取る必要があります。

または、言われた音を正確に覚えておく必要もあります。

他にも、単語がいくつの音でできているのか、単語の中で音がどのような順番で並んでいるのか、といった音韻認識も発音の発達には重要です。

1音ずつ手を叩きながら単語を言ったり、しりとり・さかさことば(単語を反対に言う)などの音あそびが音韻認識を育てます。

未熟な発音への対応の仕方

お子さんの未熟な発音への対応について、以下のような時期別に分けて解説します。

  • 2~3歳頃の未熟な発音
  • 4~5歳頃の未熟な発音
  • 6歳以降の未熟な発音

ただし、これらは通常の発達の速度の場合の年齢です。ことばの発達がゆっくりなお子さんの場合には、それぞれの子の言語発達の水準に合わせた関わりをすることが大切です!

全年齢に共通した対応

✓ 発音が間違っていても話の内容に注目して会話を続ける

✓ 子どもが間違えている発音をさりげなく正しい発音にして復唱する

2~3歳頃の発音の問題と対応

この頃のことばの発達は個人差がかなり大きいです。大人と一緒に会話ができるような子がいれば、まだ単語~2語文程度でたどたどしく話す子もいます。

まだお話がたどたどしい子でも、くちびるをつかう音であるパ行やマ行は比較的明瞭に言えることも多いです。これは、くちびるが外から見えやすいため、真似しやすいことが影響しているのでしょう。

これらの音がまだ不明瞭なお子さんの場合、顔と顔を向かい合わせて、少し口元を強調してみせてあげるなどしながら遊んでみてください。

また、ことばの中の音を記憶する力も育ってくる時期です。ことばの出始めのころは何でも単語の最後の音だけ言っていた子も(例:ひこうき→「んき」)、文字数の少ない単語ならしっかりと言えることが増えてきます。

なかなかしっかり言える単語が増えてこない場合には、擬音語や擬態語を多く使って関わってみてください。「とんとん」「わんわん」などの繰り返しのあることばは音を記憶しやすいため早期にいえるようになる子が多いです。

ゆっくり・はっきり言って聞かせてあげながら、音を聞き取る力を育てましょう。

  • 向かい合って口元を見せて遊びましょう
  • 擬音語・擬態語をたくさん聞かせましょう

4~5歳頃の発音の問題と対応

だいぶ会話の成り立つようになり、幼稚園・保育園などであった少し前の出来事を話題に取り上げて話せるようにもなってきます。この頃になると、発音もしっかりしてきて、聞き取れないといったことはだいぶ減ります。

この時期に、サ行がシャ行、ツがチュ、ラ行がダ行などに置き換わっているようなお子さんの場合には、もう少し様子を見ていても良いかもしれません。

サをシャに間違えている場合などは似たような音が出ているので、自然と良くなっていく可能性もあります。

ただ、本人が気にしていたり、友達との関わりの中で不具合が生じているような場合には、医療機関や療育センターなど言語聴覚士がいる施設に相談してみてください。

また、「さかな」→「たかな」(さ→た)のように通常は他の音(ひらがなで表記可能な音)に置き換わることが多いのですが、「さかな」→「※△かな」とひらがなでは書けず、「しゃ」と「か」の中間の音に歪んでいる等の歪み音に置き換わっている場合にも、早めにご相談いただくと良いかもしれません。

音韻認識も高まってくる

4歳を過ぎるころになると音を記憶する力も育ち、文字数の多い単語も正確に言えることが増えてきます。

ただ、まだ「とうもろこし」→「とうもころし」、「にしまつや」→「にしやつま」などの単語内で音をひっくり返して覚えてしまっていることがある場合もあります。

そのような間違い方が目立つようなら、まずは単語を音に分解するような遊びをしてみましょう。

1音ずつ手を叩きながら単語を言ったり、じゃんけんグリコのような音遊びをすると良いと思います。

以下の音すごろくも楽しいです。

単語を音に分けられるようになったら、最初の音や最後の音を当てるようなクイズにもチャレンジしてみてください。

「『くるま』の最後の音はなにかな?」ということが分かるようになってきたら、しりとり遊びにつなげていけます。

6歳以上の発音の問題と対応

6歳になり、小学生にあがるころになると、大体の子は大人と同じような発音ができるようになります。

この頃に、発音できない音がある場合には、医療機関の他にも教育の制度の中にある「ことばの教室」に相談すると良いかもしれません。

ことばの教室については、自治体によって対象年齢や申し込み方が異なりますので、お住まいの地域の自治体にお問い合わせください。

まとめ:発達の状態に合わせた関わりが大切

子どもの発音の発達について解説しました。ここまでをまとめます。

  • まず、口の構造と聴力を確認しよう
  • 発音の発達には順番がある
  • 舌運動と音の認識が発音の育ちには大切
  • 発達の状態に合わせた関わりをしよう

こんな感じです。

幼児期の発音の育ちは個人差も大きいですが、小学校の就学までには大人と同じような発音ができるようになることが多いです。

しかし、中には自分でコツをつかめずに、発音を練習して獲得していく必要のある子がいます。

発音の練習には、少し専門的なコツが必要な場合がほとんどです。可能であれば、言語聴覚士などの専門家と一緒に練習を行うことをおすすめします。

ご家庭で、「違うでしょ!いってごらん!「さ!」」など、強く指摘したり、無理やり言わせようとしたりといった対応ではお子さんが話すことに自信をなくしてしまう危険性もあるのでやめましょう。

ご家庭では遊びの中で、正しい音をさりげなく聞かせてあげるように関わってあげてください。

子どもの発音について、ご心配な場合には、言語聴覚士のいる医療機関や療育センターに相談してみると良いかもしれません。


当サイトでは【言葉の発達に大切なこと | 全12記事で解説!言語発達遅滞の支援方法】に、ことばの発達に関する記事をまとめて紹介しています。

ことばの発達の順番に記事を並べていますので、お子さんの発達の状態に合わせてお読みいただけます。

言葉の発達に大切なこと
【言語発達遅滞の支援方法】を読む

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