「うちの子、特定のものしか食べない…」
「新しい食材は、見ただけで拒否。」
「栄養が偏っていないか心配で、毎日気が狂いそう。」
「『お腹が空けば食べる』なんて言うけど、うちの子は絶対に食べない!」
こんな相談を受けることって多いかと思います。
でも、どのようにアドバイスして良いのか分からず、「様子をみていきましょう」と伝えてしまっていませんか?
そんな、専門家の方に、ぜひ手に取ってほしい一冊があります。
日本語に直訳すると、「極度の偏食を持つ子どもを助ける:選択的摂食、食物嫌悪、摂食障害を克服するためのステップ・バイ・ステップ・ガイド」。
偏食への対応を具体的に紹介してくれています。
目次
この本が「単なる好き嫌い」の本と違う理由
世の中には「子どもの好き嫌いを直すレシピ」のような本はたくさんあります。しかし、この本が扱っているのは、そんな生やさしいレベルではありません。
本書がターゲットにしているのは「Extreme Picky Eating(極度の偏食)」です。
- 食べられるものが10種類以下しかない
- 特定の食感や色のものしか絶対に口にしない
- 新しい食べ物が食卓にあるだけでパニックになる
- 食事の時間が近づくと、親子ともに極度のストレスを感じている
このようなお子さんを担当しているのであれば、ぜひ一度は読んでみて欲しい。
なぜ、この本が「救い」になるのか?
私がこの本を読んで強く感じたのは、「親を責めない」という一貫した姿勢と、絶望から一歩踏み出すための「具体的なロードマップ」が示されている点です。
1. 「なぜ?」がわかる。だから、親のせいじゃないと分かる
本書は、子どもがなぜそれほどまでに食べることを拒否するのか、その背景にある「選択的摂食」「食物嫌悪(感覚過敏など)」「摂食障害」といった要因を丁寧に解説してくれます。
「育て方が悪かったのか」「愛情が足りないのか」と自分を責めてきた親御さんは、まず「これは本人の『わがまま』でも、親の『しつけ』の問題でもない」と知るだけで、どれだけ心が救われるでしょうか。
2. 精神論ゼロ。「ステップ・バイ・ステップ」の具体的な戦略
「食事は楽しく!」と言われても、それができないから困っているのです。
この本は違います。
- ステップ1: まず、親のストレスを管理し、食事のプレッシャーを減らす
- ステップ2: 食べ物への「慣れ」を(食べる以外の方法で)作る
- ステップ3: 「一口」を無理強いせず、「触る」「匂いを嗅ぐ」から始める
このように、非常に小さな、しかし確実な「ステップ」を一つずつクリアにしていく方法が具体的に示されています。これは、明日からすぐに試せる「戦術書」のよう。
3. 「食べる」のゴールを下げてくれる
私たちは、「食べさせること」に必死になりがちです。しかし本書は、そのゴールを「食卓に、親子で穏やかに座ること」から始めよう、と提案します。
「食べなくてもいい。でも、一緒に座っていようね」
このスタンスが、結果的に子どもの「食べてみようかな」という安心感を引き出すことにつながるのです。
この本の内容を役立てて欲しい人
- 子どもの偏食がひどく、栄養失調や発達を本気で心配している方
- 食事の時間が憂鬱で、毎日泣きそうな思いをしている方
- 何を試しても効果がなく、「もう打つ手がない」と諦めかけている方
- 周りに理解されず、「親の努力不足」と責められている(と感じている)方
この本は、暗闇の中で「何をすればいいか分からず」立ちすくんでいる親御さんにとって、間違いなく「次の一歩」を照らす懐中電灯のような存在になるかと思っています。
もちろん、読んだ次の日から魔法のように解決するわけではありません。しかし、「何から手をつければ良いか」が分かるだけで、前に進めるような気がしませんか。
子どもの「食べられる」を増やすため、そして何より、食卓に親子の笑顔を取り戻すために。 本気で悩んでいる方ほど、この本を手に取ってみる価値があると強くお勧めします。
日本語版が発売されていないのが残念ですが…。

