
ダウン症をもつ子の母親「離乳食用の椅子はどのようなものを選べばいいんだろう?一般的な育児書には月齢に合わせた紹介があるけど、ダウン症の子の場合には発達がゆっくりなのであまり参考にならなくて困るわ。椅子を選ぶときのポイントと、おすすめの椅子を紹介してほしい。」
このような疑問に答えます。
- 運動発達の状態に合わせて椅子を選ぼう
- 時期別のオススメの椅子を紹介!



Instagram(hagukumi_child)
この記事を書いている僕は、言語聴覚士(ST)という職業で、障害をもつ子の食べる機能の発達を支援しています。その中で得た知識や経験から、『ダウン症児が離乳食を食べるときにつかう椅子』について、選ぶポイントとおすすめの椅子を解説します。
ダウン症をもつお子さんの椅子を選ぶ場合、運動発達の状態に合わせた椅子を選ぶべきです。
なぜなら、ダウン症の子は全般的に発達がゆっくりなため、一般的に表示されている月齢の目安は当てはめることができない場合が多いためです。
例えば、生後5-6か月だから「〇〇の椅子」と考えるのではなく、おすわりが安定してきたから「〇〇の椅子」というように考えてみましょう。
運動発達の状態に合わせた椅子を選ぶことで、離乳食も食べさせやすく、本人も食べやすい姿勢をととのえることができます。
》【必見】障害をもつ子の離乳食でつかう椅子選びの失敗例【購入前に確認を】
この記事では、運動発達を3段階に分け、それぞれの時期に適した椅子のポイントを解説します。
そのうえで、時期別にオススメの椅子を紹介しますので、最後までお読みいただき、お子さんに合った椅子を見つけてください!
それでは、さっそくお読みください。
目次
離乳食を始めたばかり(首のすわり~おすわり)



離乳食をはじめたばかりのダウン症のお子さんたちは、以下のような運動発達の状態であることが多いです。
- もう少しで首がすわりそう
- 首がすわって少し寝返りができるようになった
- 支えてあげればおすわりができる
この時期には、少しリクライニングできる(後ろに傾けられる)椅子を選ぶことで、背中~頭の体重をあずけられるような椅子を選んであげると良いでしょう。
椅子に体重をあずけることで姿勢保持を楽にして、お口を動かすことにしっかりと意識を向けてもらうことがこの時期には重要です。
リクライニングできる椅子は、お子さんが平らな床に自分でおすわりができるようになる頃まで使えるものが多いです。
おすすめの椅子(首のすわり~おすわり)
このタイプのバウンサーの中で、比較的お求めやすい価格帯の商品です。
しかし、リクライニング角度を調整でき、揺れないようにストッパーもついているなど、離乳食を食べさせるのに必要な機能はしっかりついています。
簡易で使いやすいことから、療育センターで使用されていることも多いです。
上記比べると少し価格が高くなりますが、おしゃれな椅子で、育児へのモチベーションもあがります。
さすが信頼のメーカーで、お友達が遊びに来た時にも少し自慢できちゃうかも!?
リクライニングの調整もでき、離乳食からお昼寝まで、様々なシーンで使用することができます。
ご家庭の食卓がダイニングテーブルであり、お子さんの視線も高くしたい場合にはこちらの椅子が良いです。
高さの調整ができるので、家族が食べている姿はハイチェアにして見せてあげ、お子さんが食べる時にはローチェアにして介助しやすくするなど、目的に応じた使い分けもしやすくなっています。
お昼寝時には自動でユラユラと椅子がゆれるなど、多機能な椅子です。
ちょっとひと工夫
ダウン症のお子さんは体が小さいことも多いです。
そのため、上記の椅子でもサイズ感がブカブカで左右に倒れてしまうこともあるかもしれません。
そういった場合には、バスタオルなどをくるくると丸めて筒のようにし、体の左右に入れて隙間を埋めてみてください。
姿勢が倒れずに安定するので、食べやすくなります。
タオルであれば、もし汚れてしまっても、洗濯すればよいので片付けも楽です。


離乳食に慣れてきた頃(おすわり~はいはい)



離乳食に慣れてきた頃には、以下のような運動発達の状態になっているお子さんが多いです。
- 床に手をついておすわりができる
- 四つ這いの姿勢になる
- ハイハイし始める子もいる
少しずつ姿勢が安定してくるので、それまで使っていたリクライニングできる椅子では物足りなくなってきます。
しかし、まだ普通の椅子に座るには大変な時期です。
座面がお子さんのおしりのかたちにフィットするような、サポートのある椅子を選んであげてください。
この時期には、なんとか普通の椅子に座れてしまうお子さんも出てきますが、食事中の姿勢についてはらくに座れるものを選んだ方が良いです。
姿勢を保つことに集中してしまうと、口を動かすことまで意識が回りにくくなってしまうことが理由の一つです。
椅子の力を借りて姿勢をサポートをしてもらい、お口を動かすことにしっかり意識をむけてもらえるような椅子を選びましょう!



体がグラグラしていると、うまく口を動かすことができません。
姿勢をしっかりと安定させてあげることが、上手にお口を動かす力のベースになります!
おすすめの椅子(おすわり~はいはい)
[ バンボ ] ベビーソファ:
こちらはもはや説明が不要なほど有名になったバンボのお椅子です。
腰回りがしっかりサポートされるので、おすわりが安定します。テーブルも装着でき、お掃除もしやすい!おしゃれな外観からも人気が高いです。
Graco(グレコ) ベビーチェア:
ご家庭の食卓がダイニングテーブルで、お子さんの視線も上げたい場合にはこちらの椅子がおすすめです。
座面のクッションがお子さんの腰回りをしっかりサポートしてくれますし、背面も少し高めになっているので高さがあっても安心です。
テーブルがついているところも、離乳食を食べるためにはありがたい!
最近、注目をあつめているハガブー。やわらかく包み込まれている姿はとても可愛らしいですよね。
ただ、ハイハイが始まったお子さんだと抜け出してしまうことが多いです。使用できる期間は短いかも?



食事がメインの栄養摂取になる頃(はいはい~ひとり立ち・歩行)



食事がメインの栄養摂取の方法になってくる頃には、以下のような運動発達の状態になっている子も多いです。
- ハイハイでどこまでも行ける
- ひとりでつかまり立ちができる
- 歩き始める子もいる
この頃になると、それほど椅子のサポートがなくても、自分で姿勢を保てるようになってきます。
しかし、ダウン症のお子さんたちは筋緊張が低めの場合が多く、姿勢を維持することは通常よりも負担が大きいようです。
できるだけ、椅子にテーブルなどの手の支えがついているものを選んであげると、姿勢を維持しやすくなります。
ちょうど、手づかみ食べなども始まる時期と重なりますので、テーブルのある椅子を選択されることをおすすめします。
おすすめの椅子(はいはい~ひとり立ち・歩行)
木製ローチェア:
シンプルな木製のチェアで、インテリアにもなじみやすいです。
この時期には、手づかみ食べなども盛んになるため、椅子もべたべたに汚れやすいですが、木製であればさっと拭くだけできれいになります。
コロコロベビーチェア:
こちらも木製のチェアで、おしゃれな外観の椅子です。
手入れがしやすいことに加えて、ひっくり返して机にしたりと使い勝手が良いのが特徴です。
ハイチェアChoice Baby:
小さい頃には、落下防止の囲いをつけて使用でき、大きくなるにつれてクッションを追加すれば学習用の椅子にも使える優れもの。
お子さんの成長に合わせた使用が可能な椅子です。
座面のサポートがなくなり、普通の平らな座面になると、おしりがすべってずり落ちてしまうお子さんも多いです。
そういった場合には、カーペットなどの下に敷くようなすべり止めシートを椅子とおしりの間に敷いてあげると良いです。
ずり落ちることが減り、姿勢が安定するので食べやすくなると思います。
まとめ:運動発達を目安に椅子を選ぼう



ダウン症のお子さんといっても、発達のスピードはその子その子で個人差も大きいです。
月齢を指標とするよりも、運動発達を目安に椅子を選んであげるとお子さんに合った椅子が見つかるでしょう。
お子さんの成長に合わせて、お気に入りの椅子を見つけてあげてください。



食事時間が楽しくなるような椅子を探してくださいね!
以下の記事も読まれています。







