
コップで飲む練習ってどうやって進めたらいいの?いつから練習を始めるのかな?コップ飲みに便利なグッツなんかも紹介してほしいな。
こういった悩みにこたえます。
- 離乳初期の水分摂取は哺乳でOK
- 離乳中期では水分をスプーンから飲んでみよう
- 離乳後期でコップ飲みの練習を開始
- ストローはコップ飲みができるようになってから



この記事を書いている僕は、言語聴覚士として発達がゆっくりな子のことばや食べる機能の発達を支援しています。その経験と知識は一般の子育てにも十分に役立てると思って記事にしてみました!
コップ飲みの練習の仕方って、意外と一般の育児書の中に書かれていないし、ネットで検索してもヒットしなかったりしますよね。
そのため、「うまくいかない・・・」と悩まれている方も多いです。
この記事では、コップ飲みの練習の仕方や練習を始めるタイミングを解説します。
最後まで読むことで、コップ飲みが上手になるまでに何をすべきかが一通り分かると思います。
それでは、さっそくお読みください!
離乳初期:
まだコップ飲みの練習はしなくてOK
まだコップ飲みの練習はしなくてOK



一般的に、離乳初期は生後5~6か月の時期のことをいいます。
離乳初期は、粒のないペースト状の離乳食をスプーンから食べはじめる時期。でも、栄養のほとんどは離乳食ではなく、母乳やミルクからとっています。
この時期は、スプーンから食べることに慣れることが目標。水分の摂取は母乳やミルクからとれる量で十分です。
なので、まだコップ飲みの練習を始めなくてもOK!
仮に、液体の水分をスプーンにすくって与えようとしても、舌が前に出てきたり、あごが上下にガクガクと動くため、口の中に入れた水分はほとんど口の外に出てきてしまいます。
水分摂取の練習はもう少し成長してからで大丈夫です。
離乳中期:
水分をスプーンから飲んでみよう
水分をスプーンから飲んでみよう



一般的に、離乳中期は生後7~8か月頃の時期のことをいいます。
離乳中期は、舌と上あごで食べ物をつぶせるようになるため、絹ごし豆腐のような簡単につぶれる固形食も食べられるようになります。
離乳中期では、スプーンから一口ずつ水分を飲めるようになることが目標です。
液体の水分をスプーンにすくって飲ませようとすると、あごがまだガクガクと上下運動をしているので多少こぼれてしまいますが、次第に上手に飲み込めるようになってきます。
ぜひ、離乳食を食べる時やお風呂あがりなど、水分をスプーンから飲む機会を日常の中に作っていきましょう。
離乳食のメニューに汁ものなどを加えて、スプーンで汁物をすくって食べさせるのも水分摂取の練習になります。
離乳中期では、液体を一口分ゴクリと飲み込むスキルを身につけます。
コップで飲ませようとしても、アグアグとコップの縁を噛んでしまって上手く飲み込めません。
コップ飲みにつなげていくために、この時期にはコップを使って遊ばせてあげると良いと思います。おもちゃのようにコップを扱っているうちに、コップがどのようなものかといった認知が育ちます。
コップに口をつけてブクブクと吹いて遊ぶような姿がみられ始めるのもこの時期です。楽しみながらコップに慣れさせていきましょう。
離乳後期:
コップ飲みの練習をはじめよう
コップ飲みの練習をはじめよう



一般的に、離乳後期は9~11か月頃の時期のことをいいます。
離乳後期では、咀嚼ができるようになるため、大人の指でつぶせるくらいの固形物が食べられるようになります。
この時期には、スプーンから水分を飲む時にこぼすことが少なくなり、かなりスムーズに飲めます。
離乳後期では、いよいよコップ飲みの練習を始めていきましょう。
ただ、いきなり普通のコップで練習するのは少しハードルが高いかも。
以下の手順で練習してみましょう。
- 「レンゲ」や「おちょこ」に一口分の水分を入れて飲ませる
- 「レンゲ」や「おちょこ」に数口分の水分を入れて飲ませる
- 「小さめのコップ」に水分を入れて飲ませる
まずは、大人がレンゲやおちょこを持って、一口分だけ口の中に流すように介助してあげてください。
慣れてきたら、おちょこの中に水分を数口分いれて、ちょっとずつ連続で飲むように介助してみましょう。
コップでも飲めるようになってきたら少しずつ介助を減らし、お子さんが自分でコップを持って飲めるように促してみてください。
離乳後期の終わりころには、コップを口につけたままゴクゴクと連続で飲むことが可能になる子もいます。
ストロー飲みはコップ飲みができるようになってから



離乳中期になるとストローを使って飲めるようになる子が増えてきます。
しかし、厳密にはこの頃のストロー飲みは大人の飲み方とは異なり、吸てつ(哺乳)の動きで吸っていることが多いです。
要するに、哺乳の時のようにチュッチュと吸っているわけですね。
そのため、ストローを取り出してみると、たいてい前歯でストローを噛んでしまってつぶれてしまっています。
ストローを大人と同じように使えるようになるのは、大体3歳頃といわれています。
大人のようなストローを使った飲み方は、コップ飲みよりも難しいスキルと考えられています。
まずは、コップ飲みのスキルを丁寧に育ててあげることが大切ですね。



コップの中の水分がどのくらい入っているのか、傾けた時にどこまで水分が流れているのか、といったことが見やすいものを選びましょう。
最初は少量の水分から練習するため、コップをかなり傾けないと水分が流れていきません。
傾けた時に、お子さんの鼻にコップの縁が当たったりしませんか?
大人が介助して一口ずつ飲ませる段階の時には、お口がみえるピッタンコップがおすすめです。
コップの片側が切り取られているので、切り取られている方を上にして子どもの口にあてます。
コップが切り取られていることで子どもの鼻がコップにあたらず、容器が透明なので子どもの口元が観察しやすくなっています。



特にコップ飲みを始めたばかりで、大人が介助してあげる時にオススメです。
※スパウトやストローマグなどはこぼれなくて安心ですが、傾けた時の量の調整が分かりにくいため、コップの練習には適していません。
水分をとってくれないときはどうする?






水分を飲むことを嫌がることが多くて困ったわ。無理にでも飲ませた方がいいの?
母乳やミルクを飲んでいるなら、水分量はそこまで心配しなくても大丈夫なことが多いです。
また、離乳食は通常よりも軟らかめに作られている関係で、料理自体に水分が多く含まれています。
お茶を飲んでくれなくても、汁ものを食べてくれるなら、それでOKです。お子さんの様子を見ながら、少しずつお茶などの水分に移行していきましょう。
以下のようなやり方でうまくいく場合もありますので、試してみてください。
離乳期は子どもや意思・自我のそだちも盛んな時期です。
与えられたものは「とにかくイヤ」となりやすい時期。これを逆手にとりましょう。
パックの麦茶とペットボトルの麦茶を並べて「どっちがいい?」と聞いてみたりして、子どもに選ばせてみましょう。自分で選んだ飲み物なら飲んでくれるかも。
コップの練習でむせてしまったなど、苦しい思いをした後にはコップを使いたくなくなってしまうかも。
そんなときには無理せず、スプーンに戻って飲ませてあげましょう。それが原因でずっとコップが使えないというケースはほとんどありません。
安全に飲める経験をまた積み重ねることで、再度コップにチャレンジしよういうパワーがわいてきます。
子どもが飲める方法で、飲ませてあげましょう。
まとめ:子どもの発達の状態に合わせてコップ飲みの練習をしよう!



ここまでをまとめます。
- 離乳初期の水分摂取は哺乳でOK
- 離乳中期では水分をスプーンから飲んでみよう
- 離乳後期でコップ飲みの練習を開始
- ストローはコップ飲みができるようになってから
この記事では、離乳食の段階に合わせてコップ飲みの練習の進め方を解説しました。
一般的に、離乳食は初期が生後5~6か月、中期が・・・と月齢で区切られています。
でも、子どもたちは発達の個人差も大きいです。お子さんの育ちのペースに合わせて食べる機能を育んでいきましょう。
ただし、水分は固形物よりも誤嚥(液体が肺に入ってしまう)の危険性が高いと言われています。
誤嚥の心配があるお子さんの場合には、医療機関の専門家と一緒に食べる機能を育てることをおすすめします。
最後に、良い姿勢は、良いおくちの機能を引き出してくれるため、食事中の椅子選びは意外と重要です。
以下の記事ではダウン症のお子さんをメインに解説していますが、食事中の姿勢の考え方は基本的にどの子も同じです。
障害があっても、なくても、運動の発達の状態に合わせた椅子を選んであげると、コップ飲みの練習も進めやすくなりますよ。