ダウン症児への保育での関わり方:保育士の専門性を活かした支援

保育園で働く保育士「今、ダウン症のお子さんがクラスにいるんだけど、初めて障害をもつ子を担当するので、どのように関わったら良いのか分からず不安。そもそも、ダウン症ってどんな障害だろう?どのような特徴があって、どうやって関わってあげたら良いのかな?保護者を支えるヒントも教えてほしいな」

こういったお悩みにおこたえします。

統合保育の重要性がいわれるようになり、保育園にダウン症のお子さんが入園することも増えてきました。

しかし、保育の現場では障害をもつ子の特徴や関わり方に関する研修が充実しているとは言い切れず、試行錯誤しながら対応されている部分も多いのではないでしょうか。

本記事では、ダウン症の特徴を簡単に解説した上で、関わりのヒンをお伝えします

この記事を書いた人

私は、15年以上、言語聴覚士という資格で障害をもつ子のことば・コミュニケーションの支援を行ってきています。ダウン症をもつお子さんへの支援も、療育センターでの個別指導に加えて、保育園の巡回相談のような制度で保育士の先生方とカンファレンスを行ったりしています。時には、実際に保育の中に入って、保育士の方々と一緒に保育を行うこともあります。これらの経験・知識から、ダウン症児の保育中の関わり方について解説していきます。

それではさっそくお読みください。

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ダウン症とは?

ダウン症とは、21番目の染色体の異常によって出生時からみられる障害です。

ダウン症にはいくつかの型がありますが、21番目の染色体が3本存在する標準型(21トリソミー)が9割ともっとも多いです。

また、出生児の染色体異常において21トリソミーが最も頻度が高いといわれています。

ダウン症をもつ子の特徴

発達の特徴

全般的にゆっくりと発達する

ダウン症をもつ子どもたちは、全般的にゆっくりと発達することが多いといわれています。

そのため、運動や離乳食、ことばの発達などもゆっくりと発達します。

ただし、ダウン症をもつ子どもたちの中でも、個人差は大きいため、一人ひとりの発達の状態を丁寧にみていく必要があります。

視覚的に情報をとらえることが得意な子が多い

ダウン症をもつ子どもたちは、言語発達に比べると視覚的な情報処理が得意な傾向があるといわれています。

言いかえると、聞いて理解するよりも、見て理解することが得意な子が多いといえます。

筋肉がやわらかい

全体的に筋肉が少なく、筋緊張が低い場合が多いです。

そのため、姿勢を保つことが大変であったり、運動に対して疲労しやすいという特徴があります。

筋肉のやわらかさが原因かどうかは専門家の中でも意見が分かれていますが、運動発達がゆっくり進むことが多いといわれています。

合併症

ダウン症をもつ子には、循環器科、消化器科、耳鼻咽喉科、整形外科などと多くの科にまたがった合併症が生じている場合があります。

特に先天性心疾患はダウン症児の半数近くにみられるといわれており、頻度が高い合併症です。

その他、消化管が正常に形成されていなかったり、視力、聴力に問題をもつ場合も少なくありません。

ダウン症児への保育での関わり方

基本的には、お子さんの発達の状態に合わせた関わりをしていくことになりますが、実際の年齢も考慮した配慮をしていくことも大切です。

例えば、発達の状態は3歳だとしても、年長さんで就学前(6歳)の頃には、次年度に小学生になる「おにいさん」といった立ち位置をダウン症をもつお子さんにも作ってあげてほしいと思います。

以下に、ダウン症児をもつお子さんへの保育で疑問に感じやすいケースについて解説します。

関わり方①:食べる機能の発達という視点

ダウン症をもつ子は、乳児期に合併症の影響などで医学管理が必要なこともあることから離乳食の開始が通常よりも遅れる場合があります。

ダウン症のお子さんは全般的にゆっくりと発達しますので、離乳食もゆっくりと時間をかけて上手に食べられるようになっていきます

お子さんの発達のペースに合わせて、離乳初期食、離乳中期食・・・と段階的に進めてあげてください。

離乳食の進め方については、こちらの記事で詳しく解説していますのでお読みください。

ダウン症児の離乳食の進め方の目安-いつから?どのように?-:摂食嚥下機能の発達の特徴

関わり方②:発達の状態に合わせた関わり

ダウン症をもつ子は、全般的にゆっくりと発達していきます。

そのため、実年齢に合わせた関わりよりも、一人ひとりの発達の段階に合わせた関わりの方が知的好奇心を引き出しやすく、成長しやすくなります。

一般的には、「〇歳になったら〇〇ができるようになる」などの目安がありますが、ダウン症をもつ子にはうまく当てはまりません。

病院や療育に通っているようであれば、担当スタッフにも相談しながら、お子さんの発達段階に合った関わりを検討しながら保育していけると良いでしょう。

関わり方③:伝わりやすい指示の出し方

ダウン症をもつ子は、ことばの発達もゆっくりとすすみます。

そのため、同年代の子と同じような指示の出し方では理解できないこともあります。

ダウン症をもつ子どもたちは、視覚優位(聞いて理解するよりも見て理解する方が得意)、聴覚的な記憶の弱さ(聞いた情報を覚えておくことが苦手)がある場合が多いです。

そのため、指示の伝え方はこどばだけではなく、イラストジェスチャーなどの視覚情報とともに伝えてあげると理解の助けになるでしょう。

ことばの発達については、こちらの記事で詳しく解説していますので、お読みください。

ダウン症児のことばの発達ダウン症児のことばを発達させる6つのポイント ダウン症児の語いを広げて2語文へつなげる関わり

ダウン症児の保護者と保育士との関わり

ダウン症をもつ子どもの保護者には、保育園での生活に不安を抱えている方もいます。

そんな保護者の方の不安の軽減のためにも、保育園での様子を丁寧に伝えることが必要です。

保育園での生活を知れることで、保護者の方は安心できる場合も多いと思います。

子育ての伴走者としての発達障害をもつ子の保護者支援

保育園は子どもが多くの時間を過ごす場所になります。

子どもたちは保育園生活をとおしてたくさんのことを学び、成長します。

子どもと家族の成長に合わせて、一緒に走ってくれる人がいることは、とても心強いことになるでしょう。

障害をもつ子の子育ては情報も少なく、不安も多いです。

保護者と一緒に子どもの成長を喜んだり、悩んだりしてくれる存在になってほしいと思います。

気になる様子だけでなく対応方法も伝えよう

保育をしていく中で、ダウン症をもつ子どもの気になる行動も出てくることと思います。

そして、保育の中では試行錯誤しながら子どもと関わり、うまくいった瞬間もあるかと思います。

保護者との話の中では、気になる行動だけ伝えて終わるのではなく、保育の中でどのように対応したらうまくいったのか、またはうまくいかなかったから次はどう対応しようと思っているのか等も伝えましょう。

保育中の気になる様子は、家庭でも同じように保護者が悩んでいることであることも多いです。

子育てを一緒に悩んでくれる存在は保護者の安心にもつながるかと思います。

まとめ:保育士の専門性を活かした支援を!

ダウン症をもつお子さんたちは、定型発達のお子さんたちに比べると育ちがゆっくりな場合が多いですが、どの子も着実に成長していきます。

その成長に立ち会える保育士はとてもやりがいのある仕事です。

ダウン症をもつお子さんたちは同じ障害でも、一人ひとり性格も育ちも異なります。

一概に「この対応が正解」といったことはなく、個々のお子さん・家庭に合わせた関わりを模索しながら関わることになります。

保育士には子どもの発達を理解したうえで、丁寧な関わり・子育てをする専門性があります。

子どもたちの「発達」を丁寧にみることができる保育士こそ、障害をもつ子どもたちのサポートに欠かすことのできない職種です。

その他に医療や療育の施設に専門職はいますが、毎日の関わりを持てるわけではありません。

最近では、保育士の専門性が認められ、通常の保育園の他にも児童発達支援の施設に職域が広がってきています。

ぜひ、障害をもつ子どもたちのために、あなたの専門性を活かして働いてみませんか?

>>続いて、障害児保育(児童発達支援)についての記事をお読みください。

保育士として障害児と関わりたい:支援のポイントと求人の探し方 障害を持つ子に加配保育士として関わる:役割・仕事内容・スキル

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