
ダウン症児を受け入れる保育士「障害をもつ子を担当するのが初めて。どうやって関わったらいいのかな?ダウン症の特徴や保護者支援のポイントを知りたいな」
こういった悩みにおこたえします。
- ダウン症の特徴と関わり方のコツ
- 保護者支援のポイント
- 保育士だから、できること



統合保育が重要視されるようになり、ダウン症をもつ子が保育園に入園することも増えてきました。
それにも関わらず、保育の現場では「障害をもつ子に関する研修」が充実しているとは言えないのが現状。そのため、試行錯誤しながら対応している人も多いのではないでしょうか。
この記事では、ダウン症をもつ子の保育の中で気を付けるべきことを、主に「ことばの発達」「食べる機能の発達」という視点から解説します。
ぜひ、最後までお読みください。


目次
ダウン症とは?【発達の特徴・合併症】



ダウン症とは、「21番目の染色体の異常によって出生時からみられる障害」です。
ダウン症にはいくつかの型がありますが、9割以上を占めるのが21番目の染色体が3本存在する標準型(21トリソミー)です。
また、出生児の染色体異常において21トリソミーが最も頻度が高いといわれています。
ダウン症をもつ子の発達の特徴
ダウン症をもつ子では、以下の3つの特徴を持ち合わせることが多いです。
- 全体的にゆっくりと発達する
- 視覚的に情報をとらえることが得意
- 筋肉がやわらかい
もちろん、その他にも特徴はありますが、この記事では上記の3つを解説します。
ダウン症をもつ子どもたちは、全般的にゆっくりと発達することが多いといわれています。
そのため、運動や離乳食、ことばの発達などもゆっくりと発達する場合が多いです。
ただし、ダウン症をもつ子どもたちの中でも、個人差は大きいため、一人ひとりの発達の状態を丁寧にみていく必要があります。
ダウン症をもつ子どもたちは、言語発達に比べると視覚的な情報処理が得意な傾向があるといわれています。
言いかえると、『聞いて理解するよりも、見て理解することが得意』という特徴です。
全体的に筋肉が少なく、筋緊張が低い場合が多いです。
そのため、姿勢を保つことが大変であったり、運動に対して疲労しやすいという特徴があります。
筋肉のやわらかさが原因かどうかは専門家の中でも意見が分かれていますが、運動発達がゆっくり進むことが多いといわれています。
ダウン症をもつ子の合併症
ダウン症をもつ子には、循環器科、消化器科、耳鼻咽喉科、整形外科などと多くの科にまたがった合併症が生じている場合があります。
特に先天性心疾患はダウン症児の半数近くにみられるといわれており、頻度が高い合併症です。
その他、消化管が正常に形成されていなかったり、視力、聴力に問題をもつ場合も少なくありません。
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ダウン症をもつ子への保育での関わり方



基本的には、子どもの発達の状態に合わせた関わりをすることが大切。とはいえ、ダウン症をもつ子の発達はゆっくりなので、実際の年齢も考慮した配慮をしていく必要もあります。
例えば、発達の状態は3歳だとしても、年長さん(6歳)の頃には、次年度に小学生になる「おにいさん」といった立ち位置をダウン症をもつ子にも作ってあげることは大切です。
以下に、ダウン症児をもつお子さんへの保育で疑問に感じやすいケースについて解説します。
関わり方①:食べる機能の発達という視点
ダウン症をもつ子は、乳児期に合併症の影響などで医学管理が必要なこともあることから離乳食の開始が通常よりも遅れる場合があります。
ダウン症のお子さんは全般的にゆっくりと発達しますので、離乳食もゆっくりと時間をかけて上手に食べられるようになっていきます。
子どもの発達のペースに合わせて、離乳初期食、離乳中期食・・・と段階的に進めていきましょう。
離乳食の進め方については、以下の記事で詳しく解説していますのでお読みください。
》ダウン症児の離乳食の進め方の目安


関わり方②:発達の状態に合わせた関わり
ダウン症をもつ子は、全般的にゆっくりと発達していきます。
そのため、実年齢よりも、一人ひとりの発達の段階に合わせた関わりをした方が、知的好奇心を引き出しやすい場合が多いです。
一般的には、「〇歳になったら〇〇ができるようになる」などの目安がありますが、ダウン症をもつ子にはうまく当てはまりません。
病院や療育に通っているようであれば、担当スタッフにも相談しながら、お子さんの発達段階に合った関わりを検討しながら保育していけると良いでしょう。


関わり方③:伝わりやすい指示の出し方
ダウン症をもつ子は、ことばの発達もゆっくりと進むため、同年代の子と同じような指示の出し方では理解できないこともあります。
ダウン症をもつ子どもたちは、視覚優位(聞いて理解するよりも見て理解する方が得意)、聴覚的な記憶の弱さ(聞いた情報を覚えておくことが苦手)がある場合が多いです。
そのため、指示の伝え方はこどばだけではなく、イラストやジェスチャーなどの視覚情報とともに伝えてあげると理解の助けになるでしょう。
ことばの発達については、以下の記事で詳しく解説していますので、お読みください。
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ダウン症をもつ子の保護者と保育士の関わり



ダウン症をもつ子どもの保護者には、保育園での生活に不安を抱えている方もいます。
そんな保護者の方の不安の軽減のためにも、保育園での様子を丁寧に伝えることが必要です。
保育園での生活を知れることで、保護者の方は安心できる場合も多いと思います。
子育ての伴走者としての保護者支援
保育園は子どもが多くの時間を過ごす場所。子どもたちは保育園生活をとおしてたくさんのことを学び、成長します。
子どもと家族の成長に合わせて、一緒に走ってくれる人がいることは、とても心強いことになるでしょう。
障害をもつ子の子育ては情報も少なく、不安も多いです。
保護者と一緒に子どもの成長を喜んだり、悩んだりしてくれる存在になってほしいと思います。
気になる様子だけでなく対応方法も伝えよう
保育をしていく中で、ダウン症をもつ子どもの気になる行動も出てくることと思います。
そして、保育の中では試行錯誤しながら子どもと関わり、うまくいった瞬間もあるかと思います。
保護者との話の中では、気になる行動だけ伝えて終わるのではなく、保育の中でどのように対応したらうまくいったのか、またはうまくいかなかったから次はどう対応しようと思っているのか等も伝えましょう。
保育中の気になる様子は、家庭でも同じように保護者が悩んでいることであることも多いです。
子育てを一緒に悩んでくれる存在は保護者の安心にもつながるかと思います。
まとめ:保育士の専門性を活かした支援を!



ダウン症をもつお子さんたちは、定型発達のお子さんたちに比べると育ちがゆっくりな場合が多いですが、どの子も着実に成長していきます。
その成長に立ち会える保育士はとてもやりがいのある仕事です。
ダウン症をもつお子さんたちは同じ障害でも、一人ひとり性格も育ちも異なります。
一概に「この対応が正解」といったことはなく、個々のお子さん・家庭に合わせた関わりを模索しながら関わることになります。
子どもたちの「発達」を丁寧にみることができる保育士こそ、障害をもつ子どもたちのサポートに欠かすことのできない職種です。
その他に医療や療育の施設に専門職はいますが、毎日の関わりを持てるわけではありません。
最近では、保育士の専門性が認められ、通常の保育園の他にも児童発達支援の施設に職域が広がってきています。
ぜひ、障害をもつ子どもたちのために、あなたの専門性を活かして働いてみませんか?
障害をもつ子の保育に力を入れている保育園・児童発達支援は転職サイトに登録して探すのが一番。
オススメの転職サイトは以下の記事にまとめてありますので、お読みください。


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