ダウン症児のことばを発達させる6つのポイント

ダウン症児のことばの発達

ダウン症のあかちゃんを育てる母親「どのように関わってあげたらことばを話せるようになるんだろう?ことばの発達に大切なポイントを知りたい。あと、生活の中で気を付けるとよいことがあるなら教えてほしい」

こういった疑問に答えます。

ダウン症をもつお子さんはゆっくりとことばを発達させていきます。成長を待つことでことばを話せるようになるお子さんも多いですが、ことばの発達に大切なポイントがあることも分かってきています。

本記事では、ことばの発達に大切なポイントと以下の6つの関わり方を解説します。

最後までお読みいただき、ポイントをおさえることで自信を持って子育てできるようになっていただけたら嬉しいです。

この記事を書いた人

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私は、言語聴覚士(ST)という資格で、発達障害児やダウン症のお子さんなどのことばを育てる支援を行っています。その経験と知識から、ダウン症のお子さんのことばの発達に関する疑問にこたえてきます。

それでは、さっそくお読みください。

ダウン症児のことばの発達を支える前提:耳が聴こえていること

まず、ことばを発達させるためには、耳が聴こえていることが必要です。

これは、ことばを話すためには、相手から言われていることばが分かることが前提になるからです。

ダウン症のお子さんたちは聴力障害を合併している場合が少なくありません。

もし、聴力障害を合併している場合には、早期から補聴器や人工内耳というものを使って聴力を補ってあげたり、口頭での言語に代わる手話を取り入れてあげたりする必要があります。

主治医と相談して、必要に応じて耳鼻科でも耳の聴こえを検査してもらえると安心です。

ダウン症児のことばを発達させる6つのポイント

ダウン症児のことばを発達には、以下の6つのポイントが大切です。

  1. 向かい合って遊ぶ
  2. 少し大げさにリアクションをする
  3. お子さんが興味を持って見ている対象物の名前を言って聞かせる
  4. 身振りやジェスチャーをたくさんつかう
  5. 子どものジェスチャーにことばを添える
  6. 擬音語や擬態語をたくさんつかう

こうやって関わりのポイントを並べてみると、すでにお子さんとのやりとりの中で取り入れているものも多く、当たり前に感じた人も多いかもしれません。

これらの関わりがなぜ大切なのかを以下に解説していきます。

ダウン症児のことばを育てる①:向かい合ってあそぼう

相手と視線を合わせて、アイコンタクトをとりながら遊ぶことは、ことばの発達にも重要であることが分かってきています。

自然と相手の顔に注意が向きやすいような環境を設定するため、向かい合ってあそぶ時間を大切にしてあげてください。

おすわりができるようになっていれば床でも良いですが、まだ倒れちゃいそうで不安な時には、座位を保ちやすいような椅子(バンボなど)を使うのも良いでしょう。

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ダウン症児のことばを育てる②:少し大げさにリアクションをしよう

大げさなリアクションは、お子さんの注意をひきつけ、あなたが出したメッセージを効率的にお子さんに届けます。

相手と同じものを見ること、すなわち「自分ー物ー相手」の三角形をつくること(共同注意)はことばの発達に非常に大切な役割を果たしています。

お子さんが大げさなリアクションともに出したあなたのメッセージに気づくことで、効率的に共同注意を成立させることができます。

ダウン症のお子さんでは、相手の視線や表情、ジェスチャーなどを見ることが得意な子が多いです。

でも、まだ小さい頃には、これらの力が十分ではありません。

大人が少し大げさにビックリした顔をしたり、対象物を見る時に視線だけではなく顔ごと対象物の方に向けたり、身振り・手振りを交えてコミュニケーションをとってあげることで、子どもたちは相手の出したメッセージに気づきやすくなります。

ダウン症児のことばを育てる③:子どもが興味をもって見ている物の名前を言おう

子どもは、共同注意が成立している場面で言われたことばをより効率的に学習します

相手と同じものを見ている状態(共同注意)を成立させるために、お子さんが見ている物の名前を言いながら関わってあげましょう。

例えば、お子さんがコップを見ていたら「コップ、あったね」と声かけをしたり、お子さんが手の伸ばした先にあるものについて「くまさん、ほしいね」と声かけをしたりしてあげてください。

要するに、子どもが感じていそうな気持ちを代弁するように、その場でナレーションを入れていくようなイメージです。

大人から「見て見て!」と子どもの興味をひかなくても、子どもが見ている物に対して大人が追従するように見れば、簡単に共同注意を成立させることができます。

以下、ダウン症児のことばを発達させるポイント①~③で重要視した共同注意について、研究結果を紹介しながら少し専門的に深めていきます。

相手と同じものに注意を向ける経験(共同注意)はダウン症児のことばを発達させる根拠

自分と相手との間で対象となる物や出来事への注意を共有することを共同注意といいます。

たとえば、母親がおもちゃを指さし、赤ちゃんが母親の指さしを見てから指の先にある玩具を見る、といった感じで日常の中では確認されます。

この共同注意を多く経験させてあげることが、ことばの発達につながります。

共同注意は、以下の2つの種類に分けて検討されることがあります。

  • RJA:responding to joint attention(親が開始する共同注意)
  • IJA:initiation of joint attention(子どもが開始する共同注意)

このRJAとIJAはどちらも周囲の人から得られる情報を認知するスキルやことばの発達を促進することが分かってきています(Baldwin, 1991)。

ことばの発達に関しては、子どもが興味をもっているものを親に見せ、親が子どもが見せてきた物の名前を言って聞かせることにより、ことばを学習する機会が子どもに提供されます(Libertus et al., 2016)。

そして、子どもたちは座位を獲得する頃になると、このような共同注意を頻繁に成立させるようになってきます。これは座位が保てることで手が自由になるため、玩具などの物を扱う経験が増えることと関係しているようです。

要するに、座位を獲得するあたりから、子どもの興味の先をしっかりと大人が把握しながら遊んであげることが、ことばの発達には重要といえるでしょう。

それを示すように、親子の共同注意を多く経験した児ほど、その後の理解語彙が多かったとする研究結果は多くあります(例えばZampini et al., 2015)。

しかも、ダウン症児は他の発達障害児よりも、認知や言語発達に比べて共同注意が相対的に強みである可能性が指摘されています(Hahn et al., 2018)。

たしかに、ダウン症のお子さんは人懐こく、自分の持っているものを見せてくれたり、逆に相手が見ているものに視線をうつしたり、といったことを自然とできるお子さんが多いように思います。

それを裏付ける研究結果として、ダウン症児は「対象物を見てから、親を見て、また対象物を見る」といった視線の使い方(triadic eye gaze:TEG)は、他の発達障害のお子さんよりも頻繁に行うことが示されています(Hahn et al., 2019

この視線の往来(TEG)は、たとえば子どもが飲み物を要求するために、親を見てからコップを見て、また親に視線を戻したりする姿として日常ではみられます。

すなわち、子どもたちはことばを話す前から共同注意を成立させることで要求を伝えるなど周囲とコミュニケーションをとっているわけですね。

ダウン症児では、この視線の往来(TEG)をよく経験した児ほど、ことばの理解が良く育ち、その後にことばでの表現も良く育っていたそうです(Hahn et al., 2019)。

以上をまとめると

  • 座位を獲得する頃には共同注意が成立しやすい条件がととのう
  • ダウン症児は自分から視線を用いて親と共同注意を成立させる頻度が高い
  • 共同注意の経験は、ことばの発達に良い影響を与える

といえます。

これらの研究結果を踏まえると、ダウン症児の早期の言語獲得に向けては、彼らの強みでもある共同注意スキルをうまく引き出し、しっかり活用させてあげることが重要と言えると思います。

ダウン症児のことばを育てる④:身振りやジェスチャーを使用しよう

身振りジェスチャーを交えたやりとりは、ダウン症のお子さんのことばを発達させることが分かってきています。

ジェスチャーは定型発達児でも同様に、ことばを話し始める前に獲得する意思伝達の手段です。

そして、ジェスチャーで表現していた語から、音声+ジェスチャーで表現し始め、次第に音声だけで伝えられるようになっていきます。

例えば、最初は両手を広げてジェスチャー(だっこ)のみ➔「っこ」+ジェスチャー➔「だっこ」といったように段階的に発達していきます。

すなわち、ジェスチャーはことばで話せるようになる一段階前に達成すべき意思表出の手段ということになります。

とは言っても、いきなりお子さんが身振り・ジェスチャーを使うことはもちろんできません。

まずは、大人がジェスチャーを使ってお子さんと関わってあげてください。

両腕を左右に広げて「ぶーん」と飛行機の真似をしたり、両手を頭にあてて「ぼうし、かぶろうか」と声かけをしてあげると良いと思います。

お子さんがジェスチャーを使えるようになるためには、まずは周囲がつかうジェスチャーの意味を理解することが必要です。

この時期は手遊び歌などもたくさん聞かせて・やって見せてあげると喜ぶと思います。

ジェスチャーで表現しにくい語いは手話で代用

基本的には、ジェスチャーはお子さんが分かりやすければどのようなものを使っても良いと思います。

しかし、日常でつかう語彙の中には、ジェスチャーで表現がしにくい単語もあるかと思います。

例えば、「りんご」「みかん」「ばなな」など。

これらの単語をジェスチャーで表現する際には、手話が参考になります。

手話の中には、その手の動きから意味が推測しやすいものがたくさんあります。

たとえば、バナナやみかんは皮をむくような手の動きで意味を表現します。

分かりやすい書籍もたくさん出ているので、参考にしていただけると良いかもしれません。

分かりやすい幼児手話の本

ダウン症児のことばを育てる⑤:子どものジェスチャーにことばを添えよう

結論から言うと、子どもが使用したジェスチャーに大人がことばを添えるように関わってあげることで、子どもが音声で表現する力を発達させるのに役立ちます。

要するに、子どもが「飲むジェスチャー」で飲みものを要求したときに、「あっ!飲みたいんだね」などというように大人がことばを添えてから要求をかなえてあげるような感じです。

ジェスチャーは言語獲得を妨げない

でも、ジェスチャーばかりやらせていたら、ことばで話さなくなりませんか?

実際のことばの指導の中でも、保護者の方からこのような質問をいただくことは多いです。

この質問への回答は、Zampini et al.が検証してくれています。

この研究では、縦断的にダウン症児の「ジェスチャーの種類と総数」、「表出語彙の種類と総数」を評価したところ、表出語彙が増える前はジェスチャーが優位なものの、表出語彙が増えてくるとジェスチャーの使用は減少していました。

すなわち、ジェスチャーは言葉が出る前に一時的に使用が増えるものの、表出語彙が増えてくるとジェスチャーはことばに置き換わっていくと言えるでしょう。

これはおそらく、意思伝達の手段として、ジェスチャーよりもことばの方が子どもたちにとって便利だからだと思います。

ジェスチャーは遠くの人に届けにくいですし、手がふさがっていると伝えられないことも多いです。

その一方で、ことばは少し遠いところでも届けることができ、両手におもちゃを持っていても伝えられます。

子どもたちは、より効率的に意思伝達できる方法へとシフトしていくと考えられます。

よって、ジェスチャーをたくさん使うことは、むしろ言語獲得には有利であり、ジェスチャーが増えてきたら「そろそろ語彙が広がるかな?」と期待しても良いことが多いのかもしれません。

このようなやりとりが、ダウン症児のことばを育てる根拠は、以下のような研究によって立証されてきています。

身振り・ジェスチャーに言葉を添えることをオススメする根拠

Goldin-Meadow et al. は、定型発達児の子どもたちがジェスチャーから音声言語に移行していく様子を検討するために、10組の親子を対象に子どものジェスチャーに対する母親の反応の仕方を調べました。

その結果、10人の母親全員が、子どものジェスチャーを言葉に置き換えて返すように関わっており、ことばでの表現のモデル(お手本)をその場で示していました。

この結果から、親が子どものジェスチャーを言葉に置き換える関わりが、子どものことばの習得を促進するのではないかと結論づけています。

この知見を Dimitrova et al. は、定型発達児に加えて、自閉スペクトラム症(ASD)児、ダウン症児を対象に検証しました。

結果は、障害の有無に関わらず、親は高い割合で子どものジェスチャーを言葉に置き換えるように関わっていました。

そして、そのように言葉への置き換えを経験した語彙は、表出語彙へと育っていくことが有意に多かったとのことです。

ただし、ダウン症児では、定型発達児やASD児に比べると学習の効率は低いようでもありました。

しかしながら、他の研究の中でも、ダウン症児へのジェスチャーやサイン言語を中心とした介入により、コミュニケーションが豊かになることも報告されており(Wright et al.2013; Yoder & Warren, 2002)、現時点では有効なことばの発達の促し方といえると思います。

ダウン症児のことばを育てる⑥:遊びの中で擬音語・擬態語をたくさん使おう

簡単に言うと、子どもたちにとって「わんわん」「ぴょんぴょん」などの繰り返しのある擬音語は覚えやすいことばとなります。

また、「びゅーん」「しゅっ」などの擬態語も、ことばから意味が想像しやすいものとなります。

生活の中で、このような擬音語や擬態語をたくさん使って関わってあげながら、まずは理解できることばを増やすことを目標としましょう。

こちらも、お子さんがみているもの、やっている動作に対して、その場その場で実況中継するように声かけしてあげると子どもたちはことばを覚えやすくなります。

擬音語や擬態語の理解はダウン症児のことばを発達させる根拠

ことばを話せるようになる前に、子どもたちはことばを理解できるようになります。

そして、ことばはいきなり大人が使う言葉を理解できるようになるのではなく、擬態語や擬音語の理解から始まる場合が多いです。

興味深いことに、私たち大人は小さいお子さんと関わる時に、自然と少し声が高くなり、おおげさなイントネーションで、擬音語・擬態語を多く用います。

これは、Infant-directed speech (IDS)やマザリーズなどと呼ばれており、日本語に限らずほとんどの言語でみられる子どもに対する大人の関わり方です。

このIDSやマザリーズは、子どもの注意を大人にひきよせるのに役立っており、ことばを覚えることにもプラスの影響を与えることが分かっています(例えば、Englund et al., 2020

まとめ:親子の楽しいコミュニケーションがダウン症児のことばの発達を促進する

ダウン症のお子さんがことばを話せるようになるまでに大切なポイントを解説しました。

日常の中での行いたい関わりのポイント以下の6つです。

  1. 向かい合って遊ぶ
  2. 少し大げさにリアクションをする
  3. お子さんが興味を持って見ている対象物の名前を言って聞かせる
  4. 身振りやジェスチャーをたくさんつかう
  5. 子どものジェスチャーにことばを添える
  6. 擬音語や擬態語をたくさんつかう

これらを意識した関わりがことばの土台を作ります。

しかし、なによりも大切なことは、親子で楽しいコミュニケーションをとれている時間です。

ダウン症のお子さんがことばを発達させるスピードはゆっくりで個人差も大きいですが、その過程も楽しみながら育ててあげてほしいと思います。

ことばの発達について不安なことや心配なことがあれば、言語聴覚士(ST)にぜひご相談ください。

発達に合わせたおもちゃ選び:サブスクの紹介

子どもの発達を促すためには、『発達の状態に合ったおもちゃ』を選ぶことも大切です。

なぜなら、子どもたちは楽しい関わりの中で効率的に新しいスキルを学ぶからです。

ダウン症をもつお子さんたちにも発達に合ったおもちゃで遊びながら、楽しくことばの発達をうながしてあげたいものです。

特に発達がゆっくりな子では『〇歳用』と書かれた年齢を目安としたおもちゃ選びが難しい場合も多いです。

以下では、発達の状態に合わせたおもちゃ選びをサポートしてくれるサブスクを紹介します。

「おもちゃのサブスク」とは、毎月定額料金を支払うことで、定期的に自宅におもちゃを届けてもらうサービスです。

おすすめ①:業界最安のIKUPLE

コスパで選ぶなら圧倒的にIKUPLEがオススメです。

なぜなら、安いだけはなく、おもちゃの内容も高品質豪華だからです。

基本的には実年齢に応じたおもちゃを届けるサービスですが、発達がゆっくりな場合は成長の状態を伝えることで、発達に合わせたおもちゃを提供してくれるとのこと。

以下の関連記事では料金などの詳細情報と口コミを紹介していますので、併せてお読みください。

おすすめ②:特別支援教育プランのあるCha Cha Cha

福祉施設も運営する企業が、国内で唯一発達がゆっくりな子のための『特別支援教育プラン』を提供しています。

特別支援教育とは、発達がゆっくりな子たち一人ひとりに合った支援を提供するものです。

このプランでは、発達に関するヒヤリングシートをもとに、子どもの発達の状態に合った知育玩具を保育士や教育のプロが選定してくれます。

普段から発達のゆっくりな子に関わっている企業だからこその、専門的な視点からの「遊び方アドバイスシート」も好評です。

発達がゆっくりな子向けの専門的なサービスを受けたい場合Cha Cha Chaで間違いありません!

以下の関連記事では料金などの詳細情報と口コミを紹介していますので、併せてお読みください。


当サイトでは【言葉の発達に大切なこと | 全12記事で解説!言語発達遅滞の支援方法】の記事に、ことばの発達に関する記事をまとめて紹介しています。

ことばの発達の順番に記事を並べていますので、お子さんの発達の状態に合わせてお読みいただけます。

言葉の発達に大切なこと
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