
「今の療育は月に数回。もっと回数を増やした方が良いのかな?掛け持ちは子どもが混乱するって聞いたけど…」
こういったテーマを記事にしてみようと思います。
- 療育の掛け持ちは可能。しかしオススメしない
- 掛け持ちが有意義な場合について紹介
- 信頼できる支援者を探すことが大切
子どもを療育に通わせている人の中には、施設を掛け持ちして通わせて良いのか疑問に思っている人もいるのではないでしょうか。
結論からいうと、療育の掛け持ちは可能です。でも、個人的にはあまりオススメしません。
「療育は回数を増やせば、それに比例して効果も上がる」と思っている人もいるかもですが、必ずしもそうではないと思っています。
では、何を大切にして療育先を選んでいけば良いのか?そんな疑問について、参考となれればうれしいです。
療育の掛け持ちは可能。しかしオススメしない理由



まず、療育の目的を考えてみます。
- 子どもが自分の気持ちを大切にできるようになる
- 自己実現するための手段・スキルを学ぶ場
- 保護者が子育ての悩みを相談する場
他にも色々とあると思います。目的は人それぞれですよね。
なお、「療育の目的は〇〇である!」みたいに言う支援者もいますが、僕は苦手です。100人いれば、100通りの目的があって良いと思います。
誤解:療育の回数さえ増やせば成長する
当たり前ですが、療育の回数だけを増やしても、子どもは成長できません。
スポーツに例えると分かりやすいかもですが、やみくもに練習回数を増やすよりも、質の高い練習メニューと栄養管理をした方が上達しそうですよね。
たぶん、療育も同じです。
複数の療育に通うことのデメリット
療育をいくつも掛け持ちすることには、デメリットもあると思います。
- 子どもが混乱する
- 親も混乱する
- 負担が増える
例えば、上記のとおり。
施設によって、療育の方針は異なる場合が多いです。例えば、「困った時に助けるを求めるスキル」を練習する場合…
- A施設:とにかく、自分から言えるように待ちましょう
- B施設:まずは、大人に助けてもらう経験を積みましょう
- C施設:まずは、大人が助けてもらう姿を見せましょう
それぞれの療育先の方針によって、子どもへのスタッフの関わりに違いが出ます。
子どもにとっては「昨日は助けてもらえたのに、今日は誰も助けてくれない。孤独…」みたいに感じてしまうかも。
※支援に一貫性があった方が学びやすい
施設間で方針のすり合わせができれば良いですが、経営者の異なる施設だと難しいですよね。
極端な例に感じるかもですが、上記のような話はわりと良くあります。
保護者にとっても、上記のように施設ごとに方針が異なると混乱しますよね。
家庭で関わる時に、どのアドバイスを取り入れたら良いのか…。ここに迷いが生じると、親子の関わりでもブレが生じます。
※ここで問題となるのは、保護者が自身の子育てに自信を持ちきれなくなること。
家庭での関わりにブレが生じること自体はそこまで問題ではないと思います。でも、子育てに不全感を感じてしまうのはシンドイです。
色々な場所に行くこと、様々な人と関わることは、思いのほかシンドイものです。
例えば、あなたが4つの職場を掛け持ちしている姿を想像してみてください。日替わりで別々の職場に出勤するようなイメージ。
これと似たような状況が、「保育園・療育センター・通園A・児童発達支援」を掛け持ちしているような子にも起こるわけです。
しかも、他人とのコミュニケーションが得意ではない子だとしたら…。僕だったら疲労困憊になると思います。
「掛け持ち」がアリだと思う場合
とはいえ、療育先を掛け持ちすることのメリットもあります。
- 専門的な関わりの頻度が増える
- 様々なアプローチを経験できる
- 相談先が増やせる
上記のような感じでしょうか。
最近では、療育はかなり混みあっていて月1~2回しか受けられないという施設も多いです。
もちろん、月数回の療育の中で、生活に落とし込めるアドバイスをもらって実践されている方もたくさんいます。
でも、今、担当してくれている支援者の方針で良いのか?他の方法があるのではないか?など不安になることもありますよね。
例えば、「ことばの発達に関して」と「手先の器用さに関して」の2つは、確実に療育に取り組みたいと考えていたとします。
- A施設:「ことばの療育」しかできない
- B施設:「手先の療育」しかできない
要するに、A施設には「STはいるけど、OTはいない」、B施設は反対に「OTはいるけど、STはいない」といった場合ですね。
この場合は、掛け持ちで通うのもアリだと思います。施設ごとに療育でねらう目的が異なるわけなので。
療育って、結局のところは「人が人を支援する」という性質があるので、保護者や子どもと支援者の「相性」も大事ですよね。
なので、気になる施設があるなら一度は通ってみるのもアリだと思います。試しつつ、本当に必要な療育を選んでいく感じで良いかと。洋服の試着みたいなものです。
療育の掛け持ちで回数をかせぐより、信頼できる支援者を探すべき



結局のところ、「支援者との相性」が大切だと思います。
療育の回数<療育の質
繰り返しになりますが、療育は回数だけ増やせば良いというものでもないと思います。
療育に通うことで、子どもにとって意味のあることが学べることが大切ですよね。
良質な療育=信頼できる支援者
では、良質な療育とは何か?ということを僕なりに考えてみました。
- 子どもに合わせた方針を考えてくれる
- 成長を一緒に喜んでもらえる
- 支援者が素直であること
このように考えました。これには賛否両論あるかもですが、僕ならこう考えるという一つの意見として聞いていただければ。
当たり前のようですが、案外こういった施設を探すことは難しいです。
「うちの施設では〇〇メソッドをやります」みたいなところは魅力的に聞こえるかもですが、子どもがそのメソッドに不向きだった場合には……どうでしょうか。
色々な支援の引き出しをもっていて、子どもの状態に合わせてプランを組み立ててくれたほうが安心だと思います。
成長を喜ぶことができる背景には、保護者と支援者の間に共通の想いがあるからこそだと思うんですよね。
「子どもにどうように過ごしてほしいか」「どんな成長を期待したいか」など。
こういったことが、保護者と支援者でバラバラだと、成長を喜ぶピントがずれてしまうかもしれません。
なにより、一緒に喜んでくれるという行為自体が、日々の子育てのモチベーションにもつながりますしね。
「分からないことを分からないと言える」こと。こういった姿勢が支援者には大切だと思います。
必要であれば、他の支援者や専門家につなげようとしてくれるかどうか。当然ですが、一人の支援者がすべてを支えられるわけがない。
それを自覚できている人かどうかということを、僕は相談相手を選ぶ時に重要視しています。「俺に全て任せとけ!」みたいな人は苦手なんですよね。
結局のところ、「お世話になる支援者を信頼できるかどうか」が大切だと思います。
まとめ:療育で大切にしたいこと【子どもが幸せか?】



この記事で『療育を掛け持ちするのはアリか?』といったテーマで書いてみました。ここまでをまとめます。
- 療育は回数だけを増やしても良くない
- 掛け持ちのデメリットは「混乱する」
- 複数の療育先を比較するための掛け持ちなら有意義
- 最終的には、信頼できる支援者を探すべき
こんな感じでしょうか。
やらせて満足ではなく、何が大切かを考えよう
やらせること自体が目的になってしまわぬように気を付けましょう。
大切なのは、やらせることで「どんなメリットがあるか」ということ。子どもが有意義に通えているかどうかを、丁寧に観察しましょう。
最近では「療育」と呼ばれる施設がかなり広がってきたと感じます。
少し前までは、療育センターで作業療法士や言語聴覚士などが提供するリハビリが「療育」と言われていることが多かったように思います。
しかし、今では児童発達支援、放課後デイサービス、通園など、色々な施設で療育的な関わりが提供されるようになりました。
最終的には、子どもが幸せかどうかで決める
選択肢が増えた分、色々と悩むことも多いと思いますが、最終的には「子どもが幸せかどうか」を指標にしてみては?という提案です。
「未来の幸せのために、今を犠牲にするな」といわれることもありますが、療育も同じではないでしょうか。
「今が楽しい!の先に、明るい未来が待っている」
そんな支援を、僕もしていきたいなと思っています。
追伸:
ことばの発達に関する療育に興味がある人へ。
『ことばの発達:完全ガイド(はぐくみブログ)』では、幼児期のことばの発達については詳しく・分かりやすく解説しています。ぜひ、お読みください。