
「子どもが話している内容が分からない。一方的に話していて会話にならない。どうしたら上手に話せるようになるのかな?」
こういったテーマで記事を書いてみようと思います。
- 子どもの会話が成り立たない原因
- 【具体例】会話が苦手な子の理由
- 子どもとの会話を成り立たせる5つのコツ

こちらからの質問に対してまったく違う答えが返ってきたり、一方的に話していて何の話をしているのか分からなかったり。
いつまでも会話が成り立つようにならないと不安になりますよね。
この記事では「会話が成り立たない」ということについて、ことばの発達という視点から解説します。
記事の後半では、ことばの発達がゆっくりな子の会話を育てるコツも紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。
子どもの会話が成り立たない原因

いろいろと原因はありますが、ことばの発達という視点から考えてみましょう。
会話が成り立つまでの『ことばの発達』
「会話をしていても、話題が逸れて違う話になってしまう」「話している内容が分かりにくい」など、うまく会話ができないと心配になりますよね。
そもそも、会話とはどのように発達するのでしょうか?
これは当たり前ですね。誰だって最初はカタコトで話せるようになり、徐々に会話でやりとりができるようになります。
では、会話が成り立つようになるためには、どのような力が必要なのか?
この点については、グライスが定義した『協調の原理』に沿って考えると分かりやすいと思います。
協調の原理:会話の成立のために
- 量の原理(Quantity)
- 質の原理(Quality)
- 関連性の原理(Relation)
- 明快さの原理(Manner)
以下で、それぞれの内容を解説します。
伝える情報が過不足ないか、ということ。適切な情報量で伝えられているか?という視点ですね。
情報量が少なすぎると内容が伝わりませんし、反対に多すぎても冗長になって分かりにくくなってしまいます。
ことばの発達という視点で考えると、以下のような感じ。
- ことばの出始めは表現する情報量が少ない
- →文章で言えるようになると、話がまとまらず冗長に話す
- →相手に伝わる程度に、ほどよい情報量でまとめて話す
このように、一時的に話しは一方的・冗長になる時期がありますが、言語発達がすすむにつれて、適度な情報量にまとめて話せるようになります。
伝える情報が正しいかどうか、ということ。
情報の正確性を高めるためには、子どもの知識が増えることと、知識を正しく伝える力が育つことが必要です。
ことばの発達という視点で「知識の獲得」を考えると、以下のような感じ。
- 自分の経験に基づいた知識
- →身近な人の経験から推測できる知識
- →一般常識としての知識
このように、最初は自分が体験したことが知識の中心ですが、徐々に経験していないことへも知識を広げていけるようになります。
伝える情報が会話のテーマに関連するかどうか、ということ。関連性のない情報は省略して伝えるということも大切です。
例えば、新しく買ったおもちゃを紹介する時に、「何時くらいに買いに行って、どんなレジ係の人にお金を払ったのか」といった情報は不要なことが多いですよね。
ことばの発達という視点で考えると、以下のような感じ。
- 自分が話したいことばかり話す
- →相手を意識して話す
会話の中で「相手が何を知りたがっているのか」「どこまで分かっているのか」というように、相手を意識した会話ができるようになっていきます。
伝える情報がどのくらい明確に話されているか、ということ。順序立てて分かりやすく説明する力ともいえますね。
例えば、説明の順序がバラバラだと、何を言いたいのか分かりにくくなってしまいます。
ことばの発達という視点で考えると、以下のような感じ。
- 断片的な説明
- →時系列を意識した説明
「今」「あとで」「さっき」などの時制に関する概念が分かってくると、順序立てて説明する力も伸びてきます。
ゆっくり・じっくり育てることが大切
会話を成り立たせるためには、これだけの要素をフル動員させる必要があります。
なので、子どもにとって難しいのは当たり前。大人だって「会話術」みたいな本があるくらい難しいわけですしね。
おそらく、「会話が成り立たない…」と感じる場合、上記のどれかの成長を待つ必要があるのではないでしょうか。
あまり焦りすぎず、子どものペースに合わせながら育てていくことが大切だと思います。
では、どうやって育てればいいのか?会話を成り立たせるためのコツを、次に紹介します。
子どもとの会話を成り立たせるコツ

子どもの会話力を育てるためには「会話に成功した体験を積み上げる」ことが重要。
そのためのコツを5つ紹介します。
- 話題を視覚化する
- 共通の体験を大切にする
- 伝わった内容をフィードバックする
- Yes-Noの質問をまぜる
- ターンテイクを分かりやすくする
コツ①:話題を視覚化する
会話のテーマとなるものを目の前に置いて話してみましょう。
例えば、公園で遊んでいる写真をスマホで撮影して、帰宅後にその写真を見ながら話すのでも良いと思います。
テーマが視覚化されているので、共通のイメージを持って話しやすくなります。
コツ②:共通の体験を大切にする
子どもと一緒にした体験をテーマに話してみるのも良いと思います。
親子で話す時に、子どもしか知らないテーマ(例:幼稚園のこと)だと、説明が不十分な場合に理解してあげることが難しくなりますよね。
親子での共通体験であれば、少しくらい説明が足りなくても、推測して理解してあげることができ、会話が成立しやすくなると思います。
コツ③:伝わった内容をフィードバックする
自分が説明した内容について、相手がどのくらい理解できたのかを伝えるために、子どもが言った内容を復唱しながら会話をするのもオススメです。
例えば、以下のようなやりとり。
- 「幼稚園、あったよ」
- →「幼稚園でなにがあったの?」
- →「ブーブのあった」
- →「ブーブがあったんだね。遊んだの?」…
といった感じ。子どもが言った言葉を真似するようにしながら、少し広げてあげるのがコツです。
コツ④:Yes-Noの質問をまぜる
ことばで説明することが未熟な子にとって、アレコレと説明することは大変なことです。
「どうして?」「なんで?」「どうやったの?」など、説明を求めるような質問ばかりだと疲れてしまうかも。
時々、「先生と遊んだの?」「工作はやった?」などとYes-Noで答えられる質問をまぜるのもオススメです。
「うん」だけで終わってしまうかもしれませんが、時には「うん、あと〇〇君もいたよ」などと子どもから情報を追加してくれるかもしれません。
コツ⑤:ターンテイクを分かりやすくする
マイペースに、一方的に話すような子にオススメなのが「だれが話す順番なのか」を視覚的に分かりやすくする道具を用いること。
例えば、マイクを使いながらインタビューごっこをしてみるなど。
マイクが目印になって、相手が話しているときに待つことの意識づけになります。
会話を楽しむことが大切
結局のところ『会話が楽しかった』という経験こそが、会話の発達には大切だと思っています。
上記で紹介したコツは、子どもが相手に想いを伝えやすくするための周囲の関わりや環境の工夫です。
子どもに会話が楽しいと思ってもらうための助けとなれればうれしいです。
それでは、今回はここまでにしようと思います。
ことばの発達について、もっと詳しく知りたいという人は、以下の記事にまとめていますので、お読みください。
