学習障害(LD)とは?特徴と症状、支援の考え方を分かりやすく解説

子どもの読み書きが習得が進まず心配している母親「うちの子、3年生になるけど、まだひらがなの読み書きが定着していない。教科書の内容自体は分かっているようだけど、文字が読めない。学習障害って聞いたことがあるけど、どういう特徴があるんだろう?支援の仕方も知りたいな。」

こういった疑問・不安におこたえします。

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私は15年以上、言語聴覚士として発達障害をもつお子さんたちのことばの指導を担当してきました。その中で、学習障害といわれる文字の読み書きに困難さをかかえるお子さんたちへの指導・支援も行っています。その経験や知識から、今回は学習障害について解説していきます。

それでは、さっそくお読みください。

学習障害(LD)とは?

学習障害(Learning Disabilities: LD)は、教育的な立場と医学的な立場とで定義が若干異なります。

文部科学省は学習障害を、「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算する」「推論する」といった学習に必要な基礎的な能力のうち、一つないし複数の特定の能力についてなかなか習得できなかったり、うまく発揮することができなかったりすることによって、学習上、様々な困難に直面している状態のことであると定義しています(文部科学省HPより)。すなわち、教育の立場では聞く・話す・推論するといった学習面での広範な範囲の能力の障害を指しています。

その一方で、医学的な立場では、「読み書きの特異的な障害」「計算能力などの獲得における特異的な障害」を指すことが多いです。教育の立場よりも、医学的には「読み」「書き」「計算」に限局した問題を扱うといえます。

学習障害の原因は、脳の機能不全といわれています。

学習障害(LD)の特徴

LDのタイプは「読字障害:ディスレクシア」、「書字障害:ディスグラフィア」、「算数障害:ディスカリキュリア」の3つに分けられ、それぞれが合併している場合もあります。

いずれも、知的発達に遅れがないにも関わらず、読み・書き・計算といったある特定領域の習得が困難な状態をさします。おおよそ、学習到達度が2学年程度おくれていることが目安になることが多いようです。

読字障害(ディスレクシア)は、文字が読めないといった状態から、文字は読めるけど読む速度が遅い、読み間違いが多いなどの症状まで個人によって程度は様々です。

書字障害(ディスグラフィア)も、文字が書けないといった状態から、文字は書けるけど時間がかかる、ひらがなは書けるけど漢字は難しいなどの様々な症状があります。

同様に算数障害(ディスカリキュリア)も計算・推論に関する技量の様々な程度で困難があらわれます。

これらの学習障害の前兆は就学前からあらわれている場合もありますが、多くは本格的な学習が始まる小学校まで気づかれずに過ごしています。特定の領域の学習が困難であることを除けば、知的発達などの遅れはないため、「勉強不足」「努力が足りない」などと思われてしまったり、部分的に出来ることがあるため「頑張ればできる」と済まされてしまったりすることもあります。

そのため、子どもたちが自信をなくしてしまわぬよう、早期に発見して支援したり、学校関係者へ支援の必要性を認識してもらうことが大切です。

学習障害の具体的な症状(例)

  • 何度くりかえしても文字が覚えられない
  • 学年があがっても1文字1文字を拾い読み・逐次読みをする
  • 不自然なところで区切って読む(単語の途中で区切るなど)
  • 読み飛ばしが多い(読めない文字をとばして読む)
  • 文末を適当に変えて読んでしまう(勝手読み)
  • 特殊音節(拗音「ょ」や促音「っ」など)の読み書きが定着しない
  • 形が似た文字を書き誤ることが多い(「め」と「ぬ」など)
  • 作文で書きたい内容は思いついているのに書けない/時間がかかる
  • 数概念が定着しない。
  • 簡単なたし算や引き算のつまづきが学年が上がっても残っている

学習障害:読字障害(ディスレキシア)の支援の考え方

知的発達に遅れがない場合、文字の読みを除けば年齢相応の学習に取り組める可能性があります。「学習すべき内容」と「読み書き」は分けて考えてあげられるとよい場合があります。

たとえば、社会の歴史の授業内容では、歴史上の人物やその人物が成しえたことを理解することが学習目標の場合も多いです。学習障害の子たちは、教科書を読んで理解することは人一倍の労力が必要ですが、読み聞かせてもらえれば内容をスムーズに内容が理解できるかもしれません。また、読み上げソフトを導入してあげれば誰かに読んでもらう必要もなく、自分で学習を進めることができるかもしれません。「読めないから学べない」の「読めない」の部分だけ補ってあげるような代替的な支援を検討してあげてほしいと思います。すなわち、先ほどの社会の例であれば、読み聞かせてもらうことで、歴史上の人物やその人物が成しえたことを学ぶことを可能にしてあげるのです。

加えて、学習障害をもつ子たちも、将来は自立して生活を行うことになります。最低限の読み書きはできた方が生活が楽になる部分もあるかと思いますので、ご本人の習得状況に合わせた課題・認知特性に合わせた教え方をすることで、ゆっくりでも確実に読み書きの力を伸ばしていくことも大切だと思います。

代替的な手段の検討(合理的配慮)

お子さんによっては、見やすいフォントがある場合があります。そういった場合には、読みやすい教材への変更を検討してあげることも良いかもしれません。

また、聞いて理解できるように授業を設計してもらうのも良いと思います。例えば、プリント学習は1問ずつ全体に対して先生が読み上げてから回答してもらうなどすると、他のお子さんと大差なく授業に参加できるかもしれません。

漢字の学習にも苦労するお子さんは少なくありません。漢字の形と音を結び付けて覚えることは苦手でも、語呂合わせのように意味を介した覚え方をするなどの認知特性に合わせた覚え方を提案してもらうのも良いかと思います。

さらに、必要に応じて読み上げソフトを導入したり、タブレットで板書する部分は写真を撮って帰りあとでゆっくりと確認するなど、ご本人に合った支援機器の導入を検討できるとよい場合もあります。

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合理的配慮とは?

障害のある人は、社会の中にあるバリアによって生活しづらい場合があります。障害者差別解消法では、役所や事業所に対して、障害のある人から社会の中にあるバリアを取り除くために何らかの対応を必要としているとの意思が伝えられたときに、負担が重すぎない範囲で対応することを求めています。

つまり、障害をもつ方がご自身の困難への対応や配慮を求める権利があることが法律で示されています。

合理的配慮の例

なにかの試験やテストなどでも、一人ひとりに適切な配慮を行うためのアセスメントを受けた上で、以下のような合理的配慮が行われる場合があります。

  • 試験時間の時間延長
  • 書字の代わりにパソコンのタイピングの使用
  • 試験問題の読み上げ
  • 別室の静かな環境での受験
  • 課題の量と質の変更と調整(記述式を選択式、ひらがな表記など)

本人の習得状況・認知特性に合わせた教育

  • 音読の正確性
  • 音読の流暢姓

この2つの視点からお子さんのつまづきを把握できると支援の方向性がつかみやすいかもしれません。たとえば、1文字ずつのひらがなが読めるからと言って、文章を不自由なく音読・読解することができるわけではありません。

私たちは、文章を読むときに単語ごとのまとまりで認識して読むことで流暢に読むことができています。文を読むときに、1文字ずつ逐次読みで読んでいたのでは、読むことに精一杯で意味を理解(読解)することができません。同様に、単語レベルの音読で精一杯なお子さんが複数の文で作られるストーリーを読むことは難しいです。

すなわち、流暢に音読できることで、文章を読んで読解することが可能になります。

1文字ずつ正確に音読できるようになったら、単語レベルで読んで意味を理解する(読解)を繰り返す必要があります。その際に、単語の意味をしっかりと理解しておけると、音読の流暢性も上がります。

単語で流暢に読めるようになってきたら、次は1文の音読・読解の練習にうつります。最初は文中の単語1つ1つに丸をつけるなどして、単語ごとのまとまりを明確にしてあげると良いと思います。次第に、自分で単語ごとの区切りを見つけられるように促していきましょう。

このように、お子さんがどこにつまづいているのかをしっかりとアセスメントし、必要な教育を着実に積み上げていくことで、学習が定着しますし、ご本人の自信も育まれていくと思います。

学習障害をもつ子は、能力の偏りが大きいため通常の教育では能力の凸凹に難易度を上手く合わせることができないことも多いです。最近では発達障害向けのタブレット学習やゲーム学習なども増えてきています。

>>発達障害・学習障害児へのタブレット学習についてはこちらの記事もお読みください。

【決定】発達障害の子におすすめのタブレット学習の選び方【おすすめベスト3】

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まとめ:オーダーメイドの支援を!

学習障害(LD)について、特徴や症状、支援の考え方について解説しました。

学習障害のお子さんが持つ困難さは一人ひとり異なります。

学習障害だからといって一辺倒な支援を行うのではなく、一人ひとりの困難さをきちんとアセスメントした上で、必要な支援を組み立てていく必要があります。

そのために、教育と医療のそれぞれが協力し合いながらお子さんを支える体制を作っていくことが今後も大切だと思います。

学習障害について、より詳しく知りたい!という方は以下の書籍が分かりやすいと思います。

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【ひらがなが読めない?】音読の習得に必要な4つのポイント:土台となる力を固めよう

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