自閉スペクトラム症をもつ子の特徴と対応・支援の基本

お子さんが自閉スペクトラム症と診断された人・自閉スペクトラム症ではないかと心配されている人「自閉スペクトラム症とはどのような特徴があるんだろう?この子のためにどのように対応してあげたら良いのかを知りたい。支援方法の例が具体的に知れると助かる」

こういった疑問にこたえます。

本記事の信頼性

私は、言語聴覚士(ST)という資格で、15年以上のあいだ発達障害児のことばやコミュニケーションの発達を支援しています。自閉スペクトラム症をもつお子さんやそのご家族とのかかわりもさせていただいています。その経験と知識から、自閉スペクトラム症の特徴と対応・支援について解説します。

自閉スペクトラム症とは?

「自閉スペクトラム症(Autism Spectrum Disorder: ASD)」は、発達障害の中のひとつで、お友達関係が苦手・こだわりが強いといった特徴をもちます。

自閉スペクトラム症をもつお子さんでは、お友達関係の苦手さやこだわりの強さといった特性があることで生活に支障が出ているため、福祉・医療によるサポートが必要になる場合があります。

自閉スペクトラム症の原因はよく分かっていませんが、うまれつき脳の機能に異常があるために引き起こされると考えられています。おおよそ50人に1人が自閉スペクトラム症の特性をもつといわれており、女の子よりも男の子に多いといわれています。

これまでにたくさんの研究の結果から、親の育て方などが原因ではないことは明らかになっていますので、「私の育て方が悪かったから?」「ちゃんとしつけができていないから?」と悩まないでください。

自閉スペクトラム症が疑われる子の特徴

  • 通常よりも視線が合いにくい印象をうける
  • 表情の変化がとぼしい印象をうける
  • 人見知りをしなかったり、過度に人見知りが強かったりする
  • 相手が言ったことのオウム返しが多い
  • 相手の指さしをなかなか見ない
  • だっこされたり、手をつながれることを異常に嫌がる
  • お友達との遊びに広がらず一人遊びばかりになる
  • 過度に食べ物の好き嫌いが多い
  • 本人なりのこだわりが強すぎる
  • 場面の切り替えに非常に時間がかかる

※上記は通常の発達の中でもみられることのある姿を含んでいます。診断のためには専門の医師の診察や、心理士・言語聴覚士などの評価などが必要となります。

自閉スペクトラム症をもつ子の特性

自閉スペクトラム症の子たちは人と上手く関わることの苦手さとこだわりの強さが特性として目立ちます。それぞれの特性の程度やあらわれ方はお子さんや体調によって異なります。これらは、本人や家族のわがままやなまけによって出ている行動ではなく、うまれつき脳の機能の異常から出ているといった認識が大切です。そのため、必要に応じて支援してあげながら、お子さんの過ごしやすさや家族の育てやすさにつなげていくことが大切です。

人と上手く関わることの苦手さ

自閉スペクトラム症をもつ子は、相手に対する関心が低くみえたり、相手との関わり方が独特にみえたりします。相手の状況を加味してものごとを考えたり、相手の気持ちをよみとったりすることが苦手なお子さんが多いようです。このような人と上手く関わることの苦手さは、あかちゃんの頃からみられますが、この子たちも年齢ととも成長し、ライフステージの中であらわれかたが変化することも多いです。

エピソードの例

あかちゃんの頃

・あやしても目が合わず、反応をあまり返してこない

・指さしをほとんどしない

・人見知りがない、または、過度に強い

・ことばを話し始めてもイントネーションが独特であったり、オウム返しが多かったりとやりとりが不自然

エコラリア
お友達との関わりが増える頃

・空気が読めない(相手の表情や視線などから気持ちを読み取れない)

・相手の状況に関わらず一方的に関わってしまう

・集団行動を楽しめず、ひとりだけ違うことをしていても平気な顔をしている

小学生にあがる頃

・過度に興味をよせる対象があり、お友達と興味が合わない

・友達関係がつくれたように見ても、表面的で親密な関係に至らない

こだわりの強さ

自閉スペクトラム症をもつ子は小さい頃からあまり他の人が興味を示さないようなものに特別な魅力を感じたり、自分のやり方に強くこだわったりする子が多いです。また、特別な興味の対象であったり、自身のこだわりにより何度も繰り返し経験したことについては知識も豊富に得ていたりする一方で、同年代の他の子が当然知っているであろう物事について知らなかったりと、習得する知識などのデコボコ(偏り)がでやすいことも知られています。

能力の方よりから学習の習得状況にも偏りが生じやすいため、本人の能力にあった学習内容を検討してあげるとモチベーションの維持につながります。

>>発達障害児向けの能力の凸凹に対応したタブレット学習の記事はこちら

【決定】発達障害の子におすすめのタブレット学習の選び方【おすすめベスト3】
エピソードの例

・自転車のタイヤ、換気扇、扇風機などの回るものが大好きで一日中見ていられる

・横一列にピシッときれいにミニカーを並べないと気が済まない

・朝起きたらまずお茶を飲まないといけないなど、崩せない一日の流れがある

こだわり

その他の特性

その他にも、感覚の偏りや異常、体の動かし方の不器用さ、想像力の弱さなどの特性をもつ子もいます。

例えば、感覚の偏りや異常があるお子さんの場合、周囲が気にならないようなエアコンの風の音をこわがったり、シャワーが体にあたることを嫌がったりすることがあります。

聴覚過敏

感覚統合という考え方が参考になる場合があります。こちらの記事も併せてごらんください。

感覚統合とは?発達障害をもつ子どもの情報の処理をスムーズに

また、想像力の弱さから、この先に起こることの予測がたたず不安に感じるお子さんもいます。例えば、おかあさんがお化粧を始めた時に、なんとなくこれからお出かけするのかな?といったことを感じとることができず、「おかいものに行くよ」と言われて心の準備ができておらずパニック・かんしゃくを起こしてしまったりします。

これらの特性のために、お子さんは「過ごしにくさ」を感じやすいですし、親御さんも「育てにくさ」を感じやすいといわれています。しかし、「こだわりの強さ」は捉え方によっては、「忍耐強さ」「集中力の高さ」と言えるような場合もあります。お子さんの強みを上手く見つけて伸ばしてあげることも大切です。

このような特性は個性だといわれることもありますが、個性として片づけられる場合は良いですが、本人や家族が何かしらの支援を必要としている場合も多いです。必要に応じて、療育センターや小児科などで相談しつつ、お子さんを前向きに育ててあげてほしいと思います。

自閉スペクトラム症をもつ子への対応の基本

視覚提示

自閉スペクトラム症のお子さんは発達のデコボコ(偏り)がある場合が多く、育て方にコツが必要な場合も多いです。親子が日常の中で少しでもストレスを感じずに過ごせるように、お子さんの特性に配慮した環境や関わりを検討していきましょう。そのためのポイントを解説します。

お子さんに理解しやすい伝え方(視覚的構造化)

自閉スペクトラム症のお子さんは、あいまいな情報をうまく受け取って理解することが苦手です。「いつ」「どこで」「なにを」「どうやるのか」といったことが上手く理解できないと、先の見通しが立たず、混乱してしまいやすいです。

たとえるなら、私たちが言語も土地勘も分からないどこかの外国にツアーで参加することになった時に、ツアーの日程表があるのとないのでは見通しの立ち方が全然違うと思います。先の予定が分からない方がワクワクするという方もいるかもしれませんが、自閉スペクトラム症のお子さんたちは、基本的には先の見通しがないと不安になってしまうととらえて支援を検討していきましょう。

自閉スペクトラム症のお子さんたちは、ことばで理解するよりも見て理解することが得意な場合が多いです。そのため、情報は見て分かるように配慮して伝えてあげると上手くいきやすいと思います。

たとえば、写真やイラストを使いながら、時間の流れを視覚化してみましょう。「①きがえる、②あさごはんをたべる、③はをみがく、④ようちえんのじゅんび、⑤いってきます」など、イラストを上から下へ順番に並べて伝えてあげると、時間の流れが明確になります。5つも示されるとどこに注目して良いのか分からなくなるようなお子さんなら、発達の状態に合わせて、次に行うことのみを伝えるなど、情報の量を調整してあげると良いと思います。

「構造化」についてはこちらの記事でより詳しく解説していますのでお読みください。

【構造化:実例あり】自閉スペクトラム症の子どもの支援の基本

嫌いな感覚を軽減してあげる

お子さんによっては、視覚・聴覚・触覚・味覚・嗅覚などの感覚が通常よりも敏感な場合があります。たとえば、人ごみで入ってくる視覚情報やざわざわした聴覚情報の刺激が強すぎてパニックになってしまったり、食べられる食感が限られているため過度な偏食であったりするお子さんが多いです。

まず、このような感覚の異常がある可能性があることを周囲の大人に知ってもらうことが大切です。情報を脳が受け取る時の不具合と考えられるので、本人や家族の努力だけではどうにもならないことが多いです。

たとえるなら、私たちが鏡をひっかいた時に出る「キー」という音に耐えがたい苦痛をおぼえることと似ているかもしれません。苦手な感覚については、避けらるもの関しては上手くさけつつ、折り合いをつけながら生活していく術を相談してけると良いと思います。

この感覚の問題が偏食という形であらわれる子も少なくありません。偏食に関する話題はこちらの記事でもとりあげていますので、お読みください。

偏食 発達障害【なぜ食べない!?】発達障害児の偏食|4つの原因と対応

本人を尊重し自信をはぐくむ

上記のような特性があるため過ごしにくさにつながりやすく、自分がやりたいと思ったことでも上手くいかずに自信が積み重ならない場合が少なくありません。

まずは、お子さんが好きなこと・興味が高いことを使いながら「やりたい!」と思う気持ちを大切に育てましょう。そして、お子さんが意欲をもって取り組んでいることについて、「がんばってるね」などとその過程を認めてあげたり、「すごいね」「上手にできたね」などと褒めてあげたりしてあげて欲しいと思います。そのような関わりの中で、「僕だってできる」「もっとやりたい!」といった気持ちを引き出していきましょう。

また、何事も最初からうまくいくとは限りません。さりげなく手助けをしてあげながら、徐々に手をひいて一人で出来るようにうながしていけるとよいと思います。

まとめ

本記事では、以下の3点を解説しました。

  • 自閉スペクトラム症とは?
  • 自閉スペクトラム症をもつ子の特性
  • 自閉スペクトラム症をもつ子への対応の基本

自閉スペクトラム症をもつお子さんでも、必要に応じて配慮と支援があることで、のびのびと自分らしく、楽しい日常を送ることができます。

ただ、上記のような特性があることで、同年齢のお子さんよりも困ることが多いことも理解してあげてほしいと思います。

子どもたちが必要な時には必要な支援・サービスが用意されるような世の中になってほしいと思います。そのために、療育センターなどにいる専門職がお力になれることもあるかもしれません。お住まいの地域で受けられる療育については、市役所などに問い合わせることで情報がもらえると思います。

より詳しく知りたい方へ

【決定】発達障害の子におすすめのタブレット学習の選び方【おすすめベスト3】 【構造化:実例あり】自閉スペクトラム症の子どもの支援の基本 偏食 発達障害【なぜ食べない!?】発達障害児の偏食|4つの原因と対応 感覚統合とは?発達障害をもつ子どもの情報の処理をスムーズに

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