「子どもの言葉を育てたい。でも、具体的にどうすれば?」
「一方的な『訓練』ではなく、自然なやり取りの中でコミュニケーション力を伸ばしたい」
そう願うすべての親御さん、そして言語聴覚士や保育士などの支援者に、心の底からおすすめしたい「実践の書」。
それが、『ことばが出ない? 遅い? 通じない?を解決する!インリアル・アプローチ事典: 0歳から使える最強のコミュニケーション指導法』です。
この本の何が「最強」なのか。 それは、子どもの「伝えたい!」という気持ちを、日常のあらゆる場面で引き出すための超・具体的なテクニック集だからです。
目次
1. 「インリアル・アプローチ」は難しくない!
「アプローチ」や「指導法」と聞くと、何か特別な訓練を想像するかもしれません。
しかし、インリアル・アプローチの核はとてもシンプルです。
大人が主導権を握るのではなく、子どもの興味・関心に大人が寄り添い、応答していくこと。
これが大事。
子どもが車に夢中なら、大人が無理に絵本に誘導するのではなく、一緒に車の世界に入り込む。その「楽しい!」の共有こそが、コミュニケーションの土台となります。
2. この本が「事典」であることの凄み
本書の最大の魅力は、その名の通り「事典」であることです。読んだその瞬間から使える「技法」が満載。
例えば、以下のようなテクニックが、具体的な場面と共に紹介されています。
- ミラーリング(行動のまね): 子どもが手を叩いたら、大人も「楽しいね」と手を叩く。言葉以前の「あなたのことを見ているよ」という最強のメッセージです。
- パラレル・トーク(子どもの行動の実況): 子どもが積み木を積んでいたら、「あ、赤いの積んだね」「次は青だね」と、子どもの行動を言葉にしてあげること。
- セルフトーク(大人の行動の実況): 大人が手を洗いながら、「ママ、おてて洗うよ」「ゴシゴシ、冷たいね」と、自分の行動を言葉にすること。
- エキスパンション(ことばの拡張): 子どもが「ワンワン」と言ったら、「ワンワン、いたね」「ワンワン、大きいね」と、少しだけ言葉を広げて返してあげること。
これらはほんの一部です。 「あ、これなら私にもできるかも!」 「いつもの『遊び』が、全部『学び』に変わるんだ!」 そんな発見がページをめくるたびに押し寄せます。
3. 「0歳から」使える理由
「まだ言葉も話せないのに?」と思うかもしれません。 いいえ、言葉が出るずっと前から、コミュニケーションは始まっています。
視線が合うこと。大人の真似をすること。指差しに大人が応えること。
この「事典」は、そうした言葉以前の「やり取り」の楽しさを、親子でどう築いていくかを徹底的に解説しています。0歳からこの関わりを積み重ねることの重要性を、痛感させられます。
4. こんな人に「今すぐ」読んでほしい!
- 子どもの言葉の発達に悩むすべての親御さん
- 「何を話しかけたらいいか分からない」という悩みが、「こう関わればいいんだ!」という自信に変わります。
- 言語聴覚士(ST)、保育士、療育関係者
- 自分の関わり方の「引き出し」が爆発的に増えます。ケースに行き詰まった時に開けば、必ず新しいヒントが見つかる、まさに「事典」です。
- 『ことばをはぐくむ』を読んで、次のステップに進みたい人
- 中川信子先生の『ことばをはぐくむ』が「なぜ大切か(マインド)」を説く本なら、この『インリアル・アプローチ事典』は「どう実践するか(テクニック)」を教えてくれる最強の相棒です。
まとめ:関わり方に迷った時の「道しるべ」
子どもの言葉が遅いと感じる時、私たちはつい焦って「教え込もう」としてしまいます。 しかし、この本は「教える」のではなく、子どもの中にある力を「引き出す」ための具体的な方法を、これでもかというほど示してくれます。
「どうしよう…」と関わり方に迷った時、この「インリアルアプローチ事典」をサッと開いてみましょう。 きっと、あなたと子どもの「通じ合えた!」という瞬間を増やすための、優しく具体的なヒントをみつけることができますよ。
一家に一冊、支援の現場に一冊。
僕にとっては、「本」というより「お守り」であり「武器」です。
